鬼神集説考證

上蔡語録問、有鬼神否。曰、這箇便是天地間妙用。須是將来做箇題目、入思議始得。講説不濟事。
【読み】
上蔡語録に問う、鬼神有りや否や、と。曰く、這箇は便ち是れ天地間の妙用。須らく是れ將ち来て箇の題目を做し、思議に入りて始めて得べし。講説は事が濟まず。

○文言傳、本乎天者親上、本乎地者親下。則各従其類也。
【読み】
○文言傳に、天に本づく者は上に親しみ、地に本づく者は下に親しむ、と。則ち各々其の類に従うなり。

○郊特牲、周人尚臭、灌用鬯臭。鬱合鬯、臭隂達於淵泉。灌以圭璋、用玉氣也。既灌、然後迎牲、致隂氣也。蕭合黍稷、臭陽達於牆屋。故既奠、然後焫蕭合羶薌。凡祭慎諸此。
【読み】
○郊特牲に、周人臭を尚び、灌は鬯の臭を用う。鬱は鬯に合い、隂に臭いし淵泉に達する。灌に圭璋を以てするは、玉氣を用いるなり。既に灌し、然る後に牲を迎えるは、隂氣を致すなり。蕭は黍稷に合い、陽に臭いし牆屋に達する。故に既に奠にして、然る後に蕭を焫し羶薌を合す。凡そ祭は諸れ此れを慎しむ。

○禮記。祭義。

○元禄二年己巳。先生年四十。下浣。浣濯衣垢也。萬石傳身自浣滌。○先生曰、官人因沐浴洗衣朔後十五日者為上浣、望後十五日者為下浣。是先師所録。
【読み】
○元禄二年己巳。先生年四十。下浣。浣は衣垢を濯うなり。萬石の傳身自ら浣滌なり。○先生曰く、官人沐浴して衣を洗うに因りて朔後十五日なる者を上浣と為し、望後十五日なる者を下浣と為す。是れ先師の録する所なり。

○凡九十四條

○初條。揚録包顕道。

○南軒集答蕭仲乘書曰、鬼神之説須是胸中見得洒落、世間所説不得放過、有無是非一一教分明方得。若有絲毫疑未断、將来被一両件礙著、未必不被異端揺動引去。二十六。○外書呂氏雜志、有言鬼物於伊川先生者。先生曰、若曽親見耶。伊川以為。若是人傳、必不足信。若是親見容是眼病。○遺書東見録後曰、嘗問好談鬼神者、皆所未曽聞見。皆是見説、燭理不明便傳以為信也。假使實所聞見、亦未足信。或是心病、或是目病。
【読み】
○南軒集の蕭仲乘に答うる書に曰く、鬼神の説は須らく是れ胸中見得て洒落に、世間説く所は放過を得ず、有無是非一一分明ならしめて方に得べし。若し絲毫の疑い未だ断ぜざること有るに、將ち来て一両件に礙著せ被れれば、未だ必ずしも異端に揺動し引去被れず。二十六。○外書呂氏雜志に、鬼物を伊川先生に言う者有り。先生曰く、若ぞ曾て親を見んや。伊川以為えり。若し是れ人傳えば、必ず信に足らず。若し是れ親ら見れば是れ眼病の容し。○遺書東見録の後に曰く、嘗て好く鬼神を談ずる者に問うに、皆未だ曾て聞見せざる所なり。皆是れ説を見るに、理に燭して明ならざれば便ち傳以て信と為すなり。假に實に聞見する所にしむも、亦未だ信ずるに足らず。或いは是れ心病、或いは是れ目病なり。

○左傳宣公三年、昔夏之方有德也。遠方圖物。圖畫山川竒異之物而献之。貢金九牧、鑄鼎象物。象所圖物。著之於鼎。使民知神姦。故民入川澤山林、不逢不若。若、順也。魑魅罔両。莫能逢之。魑、山神獣形。魅、怪物。罔両、水神。又淮南子、魑魅状、如三歳小児、赤黒色赤目長耳美髪。又史記孔子世家註獨足。魍魎、山精好學人聲而迷惑人也。
【読み】
○左傳宣公三年、昔夏の方に德有るなり。遠方より物を圖す。山川竒異の物を圖畫して之を献ず。金を九牧に貢ぎ、鼎を鑄て物を象す。象は物を圖す所。之を鼎に著す。民をして神姦を知らしむ。故に民は川澤山林に入り、逢わず若わず。若は順なり。魑魅魍魎。能く之に逢うこと莫し。魑は山神獣形なり。魅は怪物。魍魎は水神なり。又淮南子に、魑魅の状は三歳小児の如く、赤黒色赤目長耳美髪。又史記孔子世家註に獨足。魍魎は、山精を好み人聲を學び人を迷惑するなり。

○遺書東見録後曰、生氣尽則死。死則謂之鬼可也。但不知、世俗所謂鬼神何也。聰明如邵尭夫、猶不免致疑。在此嘗言、有人家若虚空中聞人馬之聲。某謂、既是人馬須有鞍韉之類皆全。這箇是何處得来。尭夫言、天地之間亦有一般不有不無底物。某謂、如此説則須有不有不無底人馬、凡百皆爾。
【読み】
○遺書東見録の後に曰く、生氣尽くせば則ち死す。死すれば則ち之を鬼と謂う可し。但知らず、世俗謂う所の鬼神は何ぞや。聰明は邵尭夫の如く、猶疑を致すを免がれず。此に在りて嘗て言う、人家虚空中に人馬の聲を聞くが若きを言う。某謂う、既に是れ人馬須らく鞍韉の類有りて皆全きなるべし。這箇は是れ何の處より得来たる。尭夫言う、天地の間も亦一般有るにあらず無きにあらざる底の物有り、と。某謂う、此の如く説けば則ち須らく有るにあらず無きにあらざる底の人馬有り、凡百は皆爾るべし。

○蜥蜴。本草時珍曰、生山石間、能吐雹、可祈雨。
【読み】
○蜥蜴。本草時珍曰く、山石の間に生れ、能く雹を吐く、雨を祈る可し。

○程邵蜥蜴叓、二程全書無之。獨遺書蘓季明録、正叔言、含水隨雨震起。子厚言未必然。雹儘有大者。豈尽蜥蜴所致也。洛陽議論。與語類相反。更詳之。
【読み】
○程邵の蜥蜴の事、二程全書に之れ無し。獨り遺書蘇季明の録に、正叔言う、水を含んで雨に隨いて震起す。子厚の言に未だ必ずしも然らず。雹に儘大なる者有り。豈尽く蜥蜴の致す所ならんや。洛陽の議論。語類と相い反す。更に之を詳らかにせよ。

○致中。白水先生劉聘君見言行外集十一巻。
【読み】
○致中。白水先生劉聘君の言行外集十一巻に見る。

○醫學入門本草鱗部。龍骨生晋地川谷太山岩水岸上穴中。死龍処得之。北山醫話曰、龍骨、石也。其形状似骨而以龍称者神之也。諸家本草迷其名、以為龍之蛻骨者非也。若虎魄狼牙牛膝龍胆、或以形似、或以性猛名焉。
【読み】
○醫學入門本草鱗の部。龍骨晋地川谷太山岩水岸上の穴中に生ず。死龍の処に之を得。北山醫話に曰く、龍骨は石なり。其の形状は骨に似て、而して龍を以て称する者は之を神するなり。諸家本草は其の名に迷い、以て龍の蛻骨と為す者は非なり。虎魄狼牙牛膝龍胆の若きも、或いは形の似るを以て、或いは性猛なるを以て名するなり。

○南軒先生與曽夫撫幹書曰、此間土剛而農惰。自前川二十八九日有雨、至今。近旬已嘗祈求。旧例祈禱無義理。盡削之、望拜尭山灕江雨已下。須臾大集。庶幾使此邦之人益信土偶之非所當事、而山川是為神霊也。又曰、前日奉祭親往舜廟行礼。既終、環視堂廡、則有庫之神在焉。唐武后亦勦入廡下、又僧伽一部落亦在焉。即日盡投弃廟前江中。庶幾一廟之内四門穆穆耳。南軒集二十八。○性理字義曰、南軒差一司戸破淫祠。纔得牒両脚倶軟臥輿、而往取神像剖其腹中、有合数重、中有小合。盛一大白虫、活走甚急、纔見虫脚便立愈推之。其他可以類見。○文會筆録十四。
【読み】
○南軒先生、曾夫撫幹に與えし書に曰く、此の間土剛くして農惰る。前川二十八九日自り雨有り、今に至る。近旬已に嘗て祈求す。旧例の祈禱は義理無し。盡く之を削り、尭山灕江を望拜し雨已に下る。須臾にして大いに集まる。庶幾くは此の邦の人をして益々土偶の當に事とすべき所に非ずして、山川是れ神霊為るを信じしむることなり。又曰く、前日祭を奉じ親ら舜廟に往き礼行なわる。既に終わり、堂廡を環り視すれば、則ち有庫の神在り。唐武后も亦廡下に勦入し、又僧伽一部落つも亦在り。即ち日に盡く廟前の江中を投弃す。庶幾くは一廟の内四門穆穆ならんのみ。南軒集二十八。○性理字義に曰く、南軒が一司戸と差い淫祠を破る。纔かに牒を得れば両脚倶に軟に輿に臥して、往きて神像を取り其の腹中を剖れば、数重を有合し、中に小合有り。一大白虫に盛なるは、活走甚だ急に、纔かに虫を見て脚便ち立ところに愈々之を推す。其の他類を以て見る可し。○文會筆録十四。

朱子曰、伊川令呂晋伯去了韋安道。李先生曰、此等事須是自信得及。如何教人做得。廣按伊川答晋伯簡謂。王者父天、母地。當極嚴恭。漢武祀地祇于汾雎、既為非礼。後世復建祠宇、其失已甚。因唐妖人作韋安道傳、遂為塑像以配食。誣瀆天地。願以其像投之河流。見淵源録新増。
【読み】
朱子曰、伊川呂晋伯をして韋安道を去り了らしむ。李先生曰く、此れ等の事は須らく是れ自ら信じ得及ばすべし。如何ぞ人をして做さしむるを得んや。廣按ずるに、伊川の晋伯に答うる簡に謂へり。王者は天を父とし、地を母とす。當に嚴恭を極むべし、と。漢武の地祇を汾雎を祀るは、既に非礼と為す。後世復た祠宇を建つは、其の失已に甚だし。因りて唐の妖人韋安道が傳を作るに、遂に塑像を為し以て配食す。天地を誣瀆す。願わくは其の像を以て之を河流に投ぜよ、と。淵源録新増に見る。

○信謂、此所收前後諸證、南軒與伊川所見所言、皆一轍途、而朱子之學所得於延平者、亦可窺矣。
【読み】
○信謂う、此の收むる所、前後諸證、南軒と伊川との見る所言う所、皆一轍途して、朱子の學の延平より得る所の者も、亦窺う可し。

○翻譯名義舎利。骨身也。楞嚴仏滅度後供養舎利。然燈續明以紫光金塗仏形像。
【読み】
○翻譯名義に舎利あり。骨身なり。楞嚴に、仏滅度の後、舎利を供養す、と。燈に然り明に續き紫光金を以て仏形像を塗る。

○劉禹錫。字夢得。中山人。貞元元年進士。
【読み】
○劉禹錫。字は夢得。中山の人。貞元元年に進士。

○第二條。必大録。呉伯豊。

○薛士龍。節要目録、名季宣。永嘉人。師李漑。漑嘗従伊川學。
【読み】
○薛士龍。節要の目録、名は季宣。永嘉の人。李漑を師とす。漑嘗て伊川に従いて學ぶ。

○鄭景望。節要目録、名伯熊。永嘉人。為建寧太守。
【読み】
○鄭景望。節要目録、名は伯熊。永嘉の人。建寧の太守を為す。

○淮南子曰、虹蜺不出、賊星不行。原道訓。又曰、虹霓彗星者、天之忌也。天文訓。月令、季春虹始見。正義、鄭康成曰、螮蝀謂之虹。孔疏爾雅釋天文廓云、雌曰蜺、雄曰虹。明盛者、暗微者。孔穎達曰、虹者隂陽交會之氣純。隂陽則虹不見。若雲薄漏日、日照雨滴、則虹生。方氏愨曰、虹者天地訌潰之氣。朱子曰、虹隨日所映。天地之淫氣也。按、日與雨交倐然成質為虹。盖雨者隂陽之和而日復以陽奸之。故謂之淫氣。正義以下見礼記義疏。
【読み】
○淮南子に曰く、虹蜺出でず、賊星行われず。原道訓。又曰く、虹霓彗星は、天の忌なり。天文訓。月令、季春虹を始めて見る。正義に鄭康成曰く、螮蝀之を虹と謂う。孔疏爾雅釋天文廓云う、雌を蜺と曰い、雄を虹と曰う。明盛なる者、暗微なる者。孔穎達曰く、虹は隂陽交會の氣純。隂陽は則ち虹見えず。若し雲薄日を漏らし、日照って雨滴れれば、則ち虹生ず。方氏愨曰く、虹は天地訌潰の氣なり。朱子曰く、虹は日の映ずる所に隨う。天地の淫氣なり。按ずるに、日と雨と交わりて倐然と質を成すことを虹と為す。盖し雨は隂陽の和にして日も復陽を以て之を奸す。故に之を淫氣と謂う。正義以下は礼記の義疏に見る。

○雷部神物。丘瓊山故叓必讀雷部至捷之鬼曰律令。雷部推車之女曰阿香。
【読み】
○雷部神物。丘瓊山、故事必讀雷部至捷の鬼を律令と曰う。雷部推車の女を阿香と曰う。

○第三條。鄭説。淳録。陳安卿。

○第四條。伯有之叓。揚録。

○春秋襄公三十年。鄭良霄、按、襄公七年註、良霄伯有也。出奔許、自許入于鄭。鄭人殺良霄。左氏傳、鄭伯有嗜酒。夜飲酒撃鐘。朝至未已、子晢伐之。伯有遂奔許。子皮曰、伯有汰侈故不免。伯有死於羊肆。子産襚之斂而殯諸伯有之臣。既而葬諸斗城。昭公七年鄭人相驚以伯有。曰、伯有至矣。則皆走不知所往。或梦伯有介而行曰、壬子、余將殺帶。駟帶助子晢殺伯有。及壬子、駟帶卒、國人益懼。子産立良上以撫之。乃止。良上、伯有子也。立以為大夫、使有宗廟。子大叔問其故。子産曰、鬼有所歸、乃不為厲。吾為之歸也。及子産適晋、趙景子問焉。曰、伯有猶能為鬼乎。子産曰、能。人生始化曰魄。既生魄、陽曰魂。陽神氣也。用物精多、則魂魄彊。物權勢。是以有精爽、至於神明。匹夫匹婦強死。不病也。其魂魄猶能馮依於人、以為淫厲。況良霄我先君之孫子、三世執政柄。其用物也弘矣、其取精也夛矣。其族又大。所馮厚矣、而強死、能為鬼、不亦宜乎。按、自是前襄公二十九年鄭伯有使公孫黒如楚。辞曰、楚鄭方悪。是殺余也。伯有曰、世行也。子晢曰、何世之有。伯有將強使之、子晢怒將伐伯有氏。裨諶曰、辟子産、天又奪伯有魄。杜註政必帰子産。喪其精神、為子産驅除。
【読み】
○春秋襄公三十年。鄭の良霄、按ずるに、襄公七年の註、良霄は伯有なり。許に出奔し、許自より鄭に入る。鄭人良霄を殺す。左氏傳に、鄭の伯有は酒を嗜む。夜酒を飲みて鐘を撃つ。朝至りて未だ已まず、子晢之を伐つ。伯有遂に許に奔る。子皮曰く、伯有汰侈故に免れず。伯有羊肆に死す。子産之に襚し斂して諸を伯有の臣に殯す。既にして諸を斗城に葬むる。昭公七年鄭人相驚すに伯有を以てす。曰く、伯有至れり、と。則ち皆走って往く所を知らず。或いは梦み、伯有介して行って曰く、壬子、余帶を殺すを將てす。駟帶は子晢を助けて伯有を殺す。壬子に及び、駟帶卒す、國人益々懼る。子産良上を立ちて之を撫つ。乃ち止む。良上、伯有が子なり。立ちて以て大夫と為し、宗廟有らしむ。子大叔其の故を問う。子産曰く、鬼に歸する所有れば、乃ち厲を為さず。吾之が歸と為すなり。子産の晋に適くに及び、趙景子問う。曰く、伯有猶能く鬼と為すか。子産曰く、能くす。人の生まるる、始めに化すを魄と曰う。既に魄生じれば、陽を魂と曰う。陽の神氣なり。物精を用い多ければ、則ち魂魄彊し。物は權勢。是れ以て精爽有り、神明に至る。匹夫匹婦の強死す。病わざるなり。其の魂魄は猶能く人に馮依して、以て淫厲を為す。況んや良霄は我が先君の孫子、三世其の政柄を執る。其の物を用いるや弘し、其の精を取るや夛し。其の族も又大。馮る所厚し、而して強死すれば、能く鬼と為すは、亦宜ならずや。按ずるに、是れより前襄公二十九年、鄭の伯有公孫黒をして楚の如く使う。辞して曰く、楚鄭方に悪し。是れ余を殺すなり。伯有曰く、世に行うなり、と。子晢曰く、何ぞ世に之れ有らん。伯有は強て之を使うを將て、子晢怒りて將に伯有氏を伐たんとす。裨諶曰く、子産を辟くは、天も又伯有の魄を奪う。杜註に政は必ず子産に帰せんや、と。其の精神を喪せば、子産が為に驅除す。

○遺書謝顕道記憶曰、伯有為厲之事、別是一理。伊川語。
【読み】
○遺書謝顕道の記憶に曰く、伯有厲を為すの事、別に是れ一理。伊川の語。

○乃祝其人。先師曰、祝語類作後。先生曰、恐非。盖復字之誤。小學註、復白也。朱書抄畧細字、嘉謂、乃後之後。中庸蒙引作分付。
【読み】
○乃ち其の人に祝し。先師曰く、祝は語類に後に作る、と。先生曰く、恐らくは非なり。盖し復字の誤りなり。小學の註に、復は白なり。朱書抄畧細字に、嘉謂う、乃後の後。中庸蒙引分付に作る。

○張天覺。言行後集陳瑩中部。張天覚晩年好仏重道、建蕐嚴閣、作醮籙會、黄冠釈子紛々従之。節要答程正思書、果老嘗説少時見張天覚云々。退渓曰、果老謂釈宗果。張天覚、啇英。
【読み】
○張天覺。言行後集陳瑩中の部。張天覚晩年仏を好み道を重んじ、蕐嚴閣を建て、醮籙會を作り、黄冠釈子紛々として之に従う。節要の程正思に答うる書に、果老嘗て説く少時張天覚を見る云々。退渓曰く、果老は釈宗果を謂う。張天覚は啇英なり。

○鄧隱峯。禅林類集十二。西堂藏禅師曽焼殺一僧。一日現身索命。師曰、你還死也無。對云、死。師云、你既死覔命者誰。便乃不見。一本作鄧隠峯。
【読み】
○鄧隱峯。禅林類集十二。西堂藏禅師曾て一僧を焼殺す。一日身を現わし命を索む。師曰く、你還って死ぬるや無し。對して云う、死す。師云う、你既に死し命を覔る者は誰、と。便ち乃ち見ず。一本に鄧隠峯に作る。

○第五條。伯有為厲。□録。黄子耕。

○第六條。問世俗。廣録。輔漢卿。物怪神姦。礼記祭法。山林川谷丘陵能出雲為風雨、見怪物。皆曰神。又左傳宣公三年、使民知神姦。
【読み】
○第六條。問世俗。廣録。輔漢卿。物怪神姦。礼記祭法。山林川谷丘陵能く雲を出し風雨と為し、怪物を見す。皆神と曰う。又左傳宣公三年に、民をして神姦を知らしむ。

○第七條。問死生有無。力行録。王近思。

○蒙求鮑靚記井。晋書鮑靚。字大玄、年五歳語父母云。本是曲陽李家児。九歳墮井死。其父母訪問皆符驗。後嘗見仙人隂君、授道訣、百余歳卒。羊祐識環。晋羊祐。字叔子。年五歳時令乳母所弄金環。乳母曰、汝先無此物。祐即指東垣桒樹中、探得之。主人驚曰、此吾亡児所失物。云、何持去。乳母具言之、李氏悲惋。時人異之、謂李氏子即祐之前身。
【読み】
○蒙求鮑靚記井。晋書鮑靚。字は大玄、年五歳にして父母に語りて云う。本是れ曲陽李家の児。九歳井に墮ちて死す、と。其の父母訪問するに皆符驗す。後嘗て仙人隂君を見て、道訣を授くる、百余歳にして卒す。羊祐識環。晋の羊祐。字は叔子。年五歳の時乳母に金環を弄ぶ所を令す。乳母曰く、汝先きに此の物無し。祐即ち東垣桒樹の中を指し、之を探し得。主人驚いて曰く、此れ吾が亡児の失う所の物。云う、何ぞ持ち去らん。乳母具に之を言えば、李氏悲惋す。時人之を異とし、李氏の子即ち祐の前身と謂う。

○第八條。論及請紫姑神。義剛録。黄毅然。

○文會筆録六巻藝文類聚、正月十五日荊楚歳時記紫姑神卜。白孔六帖亦云、以柳枝挿門、以豆粥祭之。事物紀原八巻、異苑曰、世有紫子女相傳。人妾為大婦所嫉、毎以穢叓相役。正月十五日感激而死。世人以其日作其形於厠間或猪欄邉迎之。曰、子胥不在。壻、名也。曹夫亦去。大婦也。小姑可出。捉者覺動是神来矣。圓機活法、紫姑神姓何、名媚。壽陽李景納為妾。大妻妬之、正月十五日遂隂殺之于厠中、後封為厠神。出氏族譜。
【読み】
○文會筆録六巻藝文類聚、正月十五日荊楚歳時記紫姑神の卜。白孔六帖亦云う、柳枝を以て門を挿し、豆粥を以て之を祭る。事物紀原八巻、異苑曰く、世に紫子女有り相傳う。人の妾大婦と為り嫉まる所、毎に穢事を以て相役す。正月十五日感激して死す。世人其の日を以て其の形を厠間或いは猪欄の邉に作り之を迎う。曰く、子胥在さず。胥は名なり。曹夫も亦去る。大婦なり。小姑出ず可し、と。捉える者動を覺えれば是れ神来る。圓機活法、紫姑神姓は何、名は媚。壽陽李景納めて妾と為す。大妻之を妬み、正月十五日遂に之を厠中に隂殺し、後封じて厠神と為す。氏族譜に出ず。

○第九條。問嘗紫姑神。方録。楊子。

○上蔡語録問、沈魂滯魄影響底事如何。曰、須是自家看得破始得。張亢郡君化去、嘗来附語。亢所知事皆能言之。亢一日方與道士圍碁、又自外来。亢欲接之、道士封一碁子令將去問之。張不知数。便道、不得。乃曰、許多時共你做夫婦。今日卻信一道士胡説、我今後更不来。又如紫姑神。不識字底把着、寫不得。不信底把着、写不得。推此可以見矣。上巻。○字義詳講、張亢郡君、死後常来與語説渠心下叓。此游魂滞魄、乃隨張心感召而来。被道士窺破此機、更使不得。盖鬼神幽隂、乃籍人之精神發揮隨人知識所至耳。便見妖非由人不可。
【読み】
○上蔡語録問う、沈魂滯魄影響底の事如何。曰く、須らく是れ自家看得破して始めて得るべし。張亢が郡君化し去り、嘗て来て附語す。亢が知る所の事皆能く之を言う。亢一日方に道士と碁を圍み、又外より来る。亢之に接するを欲するに、道士一碁子を封じ將ち去りて之を問わしむ。張数を知らず。便ち道う、得ず。乃ち曰く、許多の時、你と共に夫婦と做らん。今日卻って一道士が胡説するに信ぜて、我今後更に来らず、と。又紫姑神の如し。字そ識らざる底に把着すれば、寫すことを得ず。信ぜざる底に把着するも、写すことを得ず。此を推して以て見る可し。上巻。○字義詳講、張亢が郡君、死後常に来て與に語り渠が心下の事を説く。此れ游魂滞魄、乃ち張が心の感召に隨いて来る。道士に此の機を窺破せられ、更に使い得ず。盖し鬼神幽隂、乃ち人の精神に籍して發揮し人の知識の至る所に隨うのみ。便ち妖も人に由るに非ざれば不可なるを見る。

○第十條。鬼神憑依言語。可学録。鄭子上。

○東見録曰、世間有鬼神憑依言語者。盖屢見之未可全不信。此亦有理。莫見乎隠、莫顕乎微而已。信謂、是正蟷螂捕蝉之意。与章句不同。又曰、楊定鬼神之説、只是道人心有感通。如有人平生不識、一日病作却念得一部杜甫詩。卻有此理。天地間事只是一箇無、既有即有、無即無。如杜甫詩者、此世界上實有杜甫詩。故人之心病及至精一、有箇道理自相感通。以至人心在此託梦在彼、亦有是理。只是心之感通也。死者託夢亦容有此理。有人過江、其妻墮水。意、其為必死矣。故過金山寺為作仏叓。方追薦次忽其婢子通傳墮水之妻意度。在某処作何事是誠死也。及三二日、有漁人、以其妻還之。盖於急流中救活之。其婢子之通傳、是何也。亦是心相感通。
【読み】
○東見録に曰く、世間に鬼神憑依して言語する者有り。盖し屢々之を見て未だ全く信ならずとす可からず。此れ亦理有り。隠より見たるは莫く、微より顕たるは莫きのみ。信謂う、是れ正に蟷螂の蝉を捕うるの意なり。章句と同じからず。又曰く、楊定の鬼神の説は、只是れ人心の感通有るを道う。人有りて平生識らず、一日病作り却って一部の杜甫が詩を念じ得るが如し。卻って此の理有り。天地間の事は只是れ一箇の無、既に有れば即ち有り、無ければ即ち無し。杜甫が詩の如きは、此れ世界上實に杜甫が詩有り。故に人の心病んで精一に至るに及び、箇の道理有りて自ら相感通す。以て人心此に在り託夢彼に在るに至りても、亦是の理有り。只是れ心の感通なり。死者の託夢も亦此の理有る容し。人有り江を過ぎ、其の妻水に墮つ。意う、其れ必死と為す。故に金山寺を過ぎ為に仏事を作る。追薦次に方りて忽ち其の婢子墮水の妻意度を通傳す。某の処に在り何事か是れ誠に死すと作すや、と。三二日に及び、漁人有り、其の妻を以て之を還す。盖し急流中に於て之を救活す。其の婢子の通傳は、是れ何ぞや。亦是れ心相感通するなり。

○魑魅魍魎之為、是做恠總名使。与上禹鼎意少異。猶言狐狸之為。
【読み】
○魑魅魍魎の為す、是れ恠の總名と做して使う。上禹鼎の意とは少し異なる。猶狐狸の為すと言うがごとし。

○第十一條。雨風露雷。道夫。楊仲愚。

○韓文文十一。原鬼曰、有嘯於梁。従而燭之無見也。斯鬼乎。曰、非也。鬼無聲。有立於堂。従而視之無見也。斯鬼乎。曰、非也。鬼無形。有觸吾躬。従而執之無得也。斯鬼乎。曰、非也。鬼無声與形、安有氣。又曰、漠然無形与聲者、鬼之常也。民有忤於天、有違於時、有爽於物逆於倫。而感於氣。於是乎、児有形有憑於聲、以應之而下殃禍焉。民之為之、其既也。又反乎其常。
【読み】
○韓文文十一。原鬼曰く、梁に嘯する有り。従いて之に燭せば見る無し。斯れ鬼か。曰く、非なり。鬼に聲無し。堂に立つ有り。従いて之を視るに見る無し。斯れ鬼か。曰、非なり。鬼に形無し。吾が躬に觸れる有り。従いて之を執れば得る無し。斯れ鬼か。曰く、非なり。鬼に声と形と無し、安んぞ氣有らんや。又曰く、漠然として形と聲と無き者は、鬼の常なり。民天に忤う有り、時に違う有り、物に爽い倫に逆う有り。而して氣に感ず。是に於て、児に形るること有り聲に憑ること有り、以て之に應じて殃禍を下す。民の之を為すや、其れ既[つくる]なり。又其の常に反る。

○第十二條。問道理。人傑録。万正淳。

○王注老子道德經六十章。治大國若烹小鮮、以道蒞天下。其鬼不神、非其鬼不神、其神不傷人。
【読み】
○王注老子道德經六十章。大國を治むるは小鮮を烹るが若く、道を以て天下を蒞す。其の鬼神ならざれば、其の鬼神まらざるのみに非ず、其の神人を傷る。

○第十三條。論及巫人。可学録。鄭子上。

○第十四條。因説神恠事。方録。楊子直。

○伊川先生上谷郡君傳曰、在廬陵時宇夛怪。家人告曰、物弄扇。夫人曰、熱爾。又曰、撃皷。夫人曰、有椎乎。可与之。後家人不敢復言怪、怪亦不復有、遂獲安居。文集巻八。
【読み】
○伊川先生の上谷郡君の傳に曰く、廬陵に在る時宇怪夛し。家人告げて曰く、物扇を弄す。夫人曰く、熱きや。又曰く、皷を撃つ。夫人曰く、椎有るか。之を与う可し、と。後家人敢て復怪を言わず、怪も亦復有らず、遂に安居を獲たり。文集巻八。

○郊特牲。殷人尚声、周人尚臭。
【読み】
○郊特牲。殷人は声を尚び、周人は臭を尚ぶ。

○周礼春官大司樂。凡樂、圜鐘為宮、黄鐘為角、太簇為徴、姑洗為羽、靁鼗。孤竹之管、雲和之瑟琴、雲門之舞、冬日至於地上之圜丘奏之。若樂六変、則天神、註、天神主。北辰。皆降。可得而礼矣。
【読み】
○周礼春官大司樂。凡樂は、圜鐘を宮と為し、黄鐘を角と為し、太簇を徴と為し、姑洗を羽と為し、靁鼗。孤竹の管、雲和の瑟琴、雲門の舞、冬日至り地上の圜丘に於て之を奏す。樂六変すれば、則ち天神の若く、註、天神は主。北辰。皆降りる。得て礼す可し。

○荀子一歡學篇曰、昔者瓠巴鼓瑟、而流魚出聽。伯牙皷琴、而六馬仰秣。故声無小而不聞、行無隱而不形。楊倞註、巴牙、不知何代人。流魚、中流之魚也。列子曰、瓠巴鼓瑟而鳥舞魚躍也。六馬、天子路車之馬也。仰首而秣、聴其声也。
【読み】
○荀子一歡學篇に曰く、昔は瓠巴瑟を鼓して流魚出聽す。伯牙琴を皷して、六馬仰秣す。故に声は小として聞かざる無く、行は隱として形われざる無し。楊倞の註に、巴牙は、何れの代の人かを知らず。流魚は中流の魚なり。列子に曰く、瓠巴瑟を鼓して鳥舞い魚躍るなり。六馬は天子路車の馬なり。仰首して秣うは、其の声を聴くなり。

○虞美人草。史記項羽本紀。有美人、名虞者。曽子固有作。古文註、項王亡滅、虞姫自刎。其墓上草、人呼為虞美人草。褒斜山谷中有虞美人草、状如鷄冠大而無花。葉皆相對。或唱虞美人之曲、則両葉如人撫掌之。頗中節拍。虞美人詞即和項羽垓下歌者。史記正義楚漢春秋、歌曰、漢兵已畧地、四方楚歌聲、大王意氣尽、賎妾何聊生。本紀。王乃悲歌慷慨、自為詩曰、力拔山兮氣蓋世、時不利兮、騅不逝兮、可奈何、虞兮虞兮虞兮奈若何。歌数闋、美人和之。又正義曰、括地志虞姫墓在濠州定遠縣東六十里。今按、濠州戦國楚都。此兼言呉詞者呉楚相近。盖歌声亦相通。
【読み】
○虞美人草。史記項羽本紀。美人有り、名は虞なる者。曾子固作有り。古文の註に、項王亡滅し、虞姫自ら刎す。其の墓上の草、人呼びて虞美人草と為す。褒斜山谷の中に虞美人草有り、状て鷄冠の大さの如くして花無し。葉は皆相對す。或いは虞美人の曲を唱えれば、則ち両葉人が之を撫掌するが如し。頗る節拍に中る。虞美人の詞は即ち項羽垓下の歌に和す者。史記正義楚漢春秋、歌って曰く、漢兵已に地を畧す、四方楚歌の聲、大王意氣尽く、賎妾何ぞ聊かに生きん。本紀。王乃ち悲歌慷慨、自ら詩を為して曰く、力は山を拔き氣は世を蓋う、時に利あらず、騅逝かず、奈何す可き、虞や虞や若を奈何せん。歌うこと数闋、美人之に和す。又正義に曰く、括地志虞姫が墓、濠州定遠縣東六十里に在り。今按ずるに、濠州は戦國楚の都。此れ呉の詞を兼ね言う者は呉楚相近し。盖し歌声亦相通ず。

○唐書列傳。狄仁傑、字懐英。髙宗時侍郎。江南巡撫使、呉楚俗多淫祠、仁傑一禁止凡毀千七百房止、留夏禹呉泰伯季札伍員四祠而已。二程全書二十四唐棣彦思篇。伊川語録曰、范公甫將赴河清尉。問、到官三日例、須謁廟、如何。曰、正者謁之。如社稷及先聖、是也。其他古先賢哲亦當謁之。又問、城隍當謁否。城隍不典、土地之神社稷而已。何得更有土地邪。又問、只恐験衆曰、狄仁傑廢江浙間淫祠千七百処、今人做不得。以謂、時不同。只是無仁傑耳。當時子胥廟存之、亦無謂。
【読み】
○唐書列傳。狄仁傑、字は懐英。髙宗の時侍郎たり。江南巡撫使たる、呉楚の俗淫祠多く、仁傑一に禁止し凡て千七百房を毀り止むに、夏の禹呉の泰伯季札伍員が四祠を留むのみ。二程全書二十四唐棣彦思篇。伊川語録に曰く、范公甫將に河清の尉に赴かんとす。問う、官に到りて三日例、須らく廟に謁すべし、如何。曰く、正なる者は之に謁せよ。社稷及び先聖の如き、是れなり。其の他古先賢哲亦當に之に謁すべし。又問う、城隍當に謁すべきや否や。城隍は不典にて、土地の神は社稷のみ。何ぞ更に土地有るを得んや。又問う、只恐らくは衆を験し曰う、狄仁傑の江浙の間淫祠千七百処を廢す、今人做し得ず。以て謂う、時同じからず、と。只是れ仁傑無きのみ。當時子胥が廟之に存すうるは、亦謂う無し。

○致生致死。檀弓。詳于下王子合條。
【読み】
○生と致し死と致す。檀弓。下王子合の條に詳らかなり。

○上蔡語録。動而不已其神乎、滯而有迹其鬼乎。往来不息神也。槯仆歸根鬼也。致生之故其鬼神、致死之故其鬼不神、何也。人以為神則神、為不神則不神矣。知死而致生之、不智。知死而致死之、不仁。垩人所以神明之也。今按、可者不可者五字、上蔡書中盖別有之。語録本文与中庸集畧倶無之。
【読み】
○上蔡語録。動じて已まざるは其れ神か、滯りて迹有るは其れ鬼か。往来して息まざるは神なり。槯仆根に歸するは鬼也。之を生と致す故に其の鬼神なり、之を死と致す故に其の鬼神ならず、何ぞや。人以て神と為れば則ち神、不神と為れば則ち神ならず。死を知りて之を生れけりと致すは不智。死を知りて之を死せりと致すは不仁。垩人の以て之を神明とする所なり。今按ずるに、可者不可者の五字、上蔡書中盖し別に之れ有り。語録本文と中庸集畧と倶に之れ無し。

○第十六條。王子合。節要目録。名遇。漳州竜渓人。一統志称為髙弟。与語類大全所去、殊不同。
【読み】
○第十六條。王子合。節要目録。名は遇。漳州竜渓の人。一統志称して髙弟と為す。語類大全の云う所と、殊に同じからず。

○呂刑、命重黎絶地天通、罔有降格。蔡傳。重即義、黎即和也。呂氏曰、治世公道昭明。為善得福、為悪得禍。民暁然知其所由、則不求之渺茫冥昧之間。當三苗昏虐、民之得罪者無所控訴。相與聴於神、祭非其鬼。天地人神之曲雜揉瀆乱。此妖誕之所以興、人心之所以不正也。在舜當務之急、莫先於正人心。首命重黎脩明祀典、天子然後祭天地、諸侯然後祭山川。髙卑上下各有分限、絶地天之通、嚴幽明之分。焄蒿妖誕之説挙、皆屏息。
【読み】
○呂刑に、重黎に命じて地天の通を絶ち、降り格る有ること罔し、と。蔡傳。重は即ち義、黎は即ち和なり。呂氏曰く、治世は公道昭明。善為れば福を得、悪為れば禍を得。民曉然として其の由る所を知れば、則ち之を渺茫冥昧の間に求めず。三苗昏虐に當り、民の罪を得る者控訴する所無し。相與に神に聴き、其の鬼に非ざるを祭る。天地人神の曲雜揉瀆乱す。此れ妖誕の以て興る所、人心の以て正しからざる所なり。舜に在りて當に務むべきの急は、人心を正にするより先なるは莫し。首として重黎に命じ祀典を脩明し、天子にして然る後天地を祭り、諸侯にして然る後山川を祭る。髙卑上下各々分限有り、地天の通を絶ち、幽明の分を嚴にす。焄蒿妖誕の説を挙ぐ、皆屏息なり。

○王制。天子祭天地、諸侯祭社稷、大夫祭五祀。天子祭天下名山大川、諸侯祭名山大川之在其地者。
【読み】
○王制。天子は天地を祭り、諸侯は社稷を祭り、大夫は五祀を祭る。天子は天下の名山大川を祭り、諸侯は名山大川の其の地に在る者を祭る。

○曲礼。非其所祭而祭之。名曰淫祀。無福。
【読み】
○曲礼。其の祭る所に非ずして之を祭る。名づけて淫祀と曰う。福無し。

○檀弓論明器處。凡五章。孔子曰、之死致死之、不仁而不可為也。之死而致生之、不知而不可為也。是故竹不成用、瓦不成咮、木不成斲、琴瑟張而不平、竽笙備而不和、有鐘磬而無簨虚。其曰明器、神明之也。上篇。仲憲言於曽子云、夏后氏用明器、示民無知也。殷人用祭器、示民有知也。周人兼用之、示民疑也。曽子曰、其不然乎、其不然乎。夫明器、鬼器也。祭器、人器也。夫古之人胡為而死其親乎。同上。宋襄公葬其夫人、醯醢百甕。曽子曰、既曰明器矣。而又實之。同上。既殯、旬而布材與明器。同上。孔子謂為明器者。知喪道矣。備物而不可用也、哀哉。死者而用生者之器也、不殆於用殉乎哉。其曰明器、神明之也。塗車芻霊、自古有之。明器之道也。孔子謂為芻霊者、善。謂為俑者、不仁。不殆於用人乎哉。下篇。
【読み】
○檀弓に明器を論ずる處。凡て五章。孔子曰く、死に之きて之を死と致すは、不仁にして為す可からず。死に之きて之を生と致すは、不知にして為す可からず。是れ故に竹は用を成さず、瓦は咮を成さず、木は斲を成さず、琴瑟は張りて平らかならず、竽笙は備わって和せず、鐘磬有りて簨虚無し。其れを明器と曰い、之を神明にするなり。上篇。仲憲曾子に言いて云う、夏后氏は明器を用い、民の知る無きを示す。殷人は祭器を用い、民に知る有りを示す。周人は之を兼ね用い、民の疑いを示す。曾子曰く、其れ然らざるか、其れ然らざるか。夫れ明器は、鬼器なり。祭器、人器なり。夫れ古の人胡為ぞ其の親を死ぬとせんや。同上。宋襄公其の夫人を葬るに、醯醢百甕あり。曾子曰く、既に明器と曰うなり。而して又之を實するや。同上。既に殯し、旬にして布材と明器與にす。同上。孔子明器為る者を謂えり。喪の道を知るなり。物を備えんとも而して用いる可からざるや、哀なり。死者にして生者の器を用いるや、殉に用いるに殆うからずや。其れ明器と曰うは、之を神明するなり。塗車芻霊は、古より之れ有り。明器の道なり。孔子芻霊為る者を謂えり、善し。俑為る者を謂えり、不仁。人を用いるに殆うからずや。下篇。

○蕐嚴經。三界唯心、万法唯識。

○蕐嚴經。恕偈云、譬如工畫師分布諸彩色、虚妄取異色。四大無差別。四大非彩色、彩色非四大。不離四大体而有彩色。心非彩畫色、彩畫色非心。雖心無彩畫、猶如工畫師。不能知畫心、當知、一切法、其性亦如是。心如工畫師。畫種々五隂。一切世界中無法而不造。如心、仏亦尓、衆生然。心佛及衆生是三無差別。諸仏尽了知一切従心轉。若能如是解彼、人見眞佛。心亦非、是身亦非是身。作一切仏叓、自在未曽有。若人欲了知三世一切佛、應當如是觀心造諸如来。
【読み】
○蕐嚴經。恕偈云う、譬えば工畫師の諸彩色を分布するが如く、虚妄異色を取る。四大差別無し。四大彩色に非ず、彩色四大に非ず。四大体を離れて彩色有るにあらず。心は彩畫色に非ず、彩畫色は心に非ず。心は彩畫無しと雖も、猶工畫師の如し。心に畫くを知る能わず、當に知るべし、一切法、其の性も亦是の如きことを。心は工畫師の如し。種々の五隂を畫す。一切世界中法として造らざる無し。心の如きは、仏も亦尓り、衆生も然り。心佛及び衆生も是れ三つ差別無し。諸仏尽く一切心に従い轉ずるを了知す。若し能く是の如く彼を解せば、人は眞佛を見る。心も亦非ず、是の身も亦是の身に非ず。一切仏事を作り、自在未曾有なり。若し人三世一切の佛を了知せんと欲せば、當に是の如く心に諸如来を造り觀て應ずるなり。

○文會筆録。普燈仁王欽禅師傳。要見一切諸法不離本心、大地虚空非心外法、撲落非他物、縦横不是塵、山河及大地全露法王身。尽天地是眞實、人体尽天地。是解脱門。尽天地是眦盧一隻眼。尽天地是自自己法身。恁麼見得心外無法。法實自心一切處。十五。又筆録六之二曰、山河大地諸有為相。次第遷流終而復始。
【読み】
○文會筆録。普燈仁王欽禅師が傳。一切諸法本心を離れず、大地虚空心外の法に非ざるを見るを要しては、撲落して他物に非ず、縦横して是れ塵ならず、山河及び大地全く法王身を露す。尽く天地是れ眞實、人体尽く天地。是れ解脱の門なり。尽く天地是れ眦盧の一隻眼。尽く天地是れ自己の法身。恁麼見得て心外に法無し。法は實に自心一切の處。十五。又筆録六の二に曰く、山河大地諸の為の相を有す。次第遷流終きて復始まる。

○第十七條。周礼春宮大宗伯之職、掌建邦之天神人鬼地示之礼、以佐王建保邦國。
【読み】
○第十七條。周礼春宮大宗伯の職、邦の天神人鬼地示の礼を建て、以て王を佐けて邦國を建保し掌る。

○祀典。泛指儀礼周礼至礼記諸篇所載。
【読み】
○祀典。泛く儀礼周礼より礼記の諸篇載す所に至るを指す。

○第十八條。問履帝武敏。廣録。輔漢卿。

○大雅生民、厥初生民、時維姜嫄。集傳。姜嫄、□帝後。姜姓。有邰氏女。名嫄。為髙辛之世妃。履帝武敏。集傳。履、践也。帝、上帝也。武、迹敏拇。歆攸介攸止。集傳。歆、動也。猶騖異也。介、大也。載震載夙。集傳。震、娠。夙、肅也。生子者、反辰居側室。時維后稷。集傳、姜嫄出祀郊禖見大人迹、而履其拇、遂歆々然如有人道之感於是、即其所大所止之處。震動有娠。乃周人所由以生之始也。周公作此詩、以推本其始生之祥、明其受命於天、固有以異於常人也。然巨跡之説或頗疑之。而張子曰、天地之始固未嘗先有人也、則人固有化而生者矣。盖天地之氣生之也。蘓氏亦曰、凡物之異於常物者、其取天地之氣常夛。故其生也或異。麒麟之生異於犬豕、蛟龍之生異於魚鼈。物固有然者矣。神人之生、而有以異於人、何足怪哉。斯言得之矣。
【読み】
○大雅生民に、厥の初め民を生ず、時れ維れ姜嫄なり。集傳。姜嫄は、□帝の後。姜姓。有邰氏の女。名は嫄。髙辛の世妃と為る。帝の武との敏を履む。集傳。履は践なり。帝は上帝なり。武は迹敏拇。歆て介を攸し止まるるを攸す。集傳。歆は動なり。猶驚異のごとし。介は大なり。載りて震に載夙しむ。集傳。震は娠。夙は肅なり。生子は、反辰居側室。時れ維れ后稷。集傳に、姜嫄出でて郊禖を祀り大人の迹を見て、其の拇を履み、遂に歆々然として人道の感是に於て、即ち其の大なる所止まる所の處有るが如し。震動娠めること有り。乃ち周人由て以て生るる所の始めなり。周公此の詩を作り、以て其の始生の祥を推し本て、其の命を天に受け、固より以て常人を異とする有るを明にするなり。然るに巨跡の説或いは頗る之を疑う。而して張子曰く、天地の始は固より未だ嘗て先ず人有るや、則ち人固より化して生ずる者有り。盖し天地の氣が之を生むなり。蘇氏亦曰く、凡そ物の常物と異なる者は、其れ天地の氣を取ること常に夛し。故に其の生まるるや或いは異なるなり。麒麟の生まるるは犬豕に異なり、蛟龍の生まるるは魚鼈に異なる。物には固より然る者有り。神人の生まるる、而して以て人に異なる、何ぞ怪しむに足らんや。斯の言之を得たり。

○言行録後集二巻。歐陽脩、字永叔。吉州人。挙進士。叓仁宗英宗神宗、位至参政。呂氏家塾記。公在翰林。日建立。讖緯之書浅俗誣怪悖經妨道。凡諸書及傳疏所引、請、一切削去之、以無誤後學。仁宗命國子官、官取諸經正義所引讖緯之説、遂旋寫録奏上。時執政者不甚主之。竟不行。又行状召撰唐書。五行志不書叓應。尽破漢儒災異附會之説。
【読み】
○言行録後集二巻。歐陽脩、字は永叔。吉州の人。進士に挙らる。仁宗英宗神宗に事え、位は参政に至る。呂氏家塾記。公翰林に在る。日建立す。讖緯の書浅俗誣怪經に悖り道を妨ぐ。凡そ諸書及び傳疏の引く所、請う、一切之を削去し、以て後學を誤まる無かしめよ。仁宗國子官に命じ、官は諸經の正義引く所讖緯の説を取り、遂旋寫録し奏上せしむ。時に執政者甚だ之を主とせず。竟に行なわれず。又行状に召されて唐書を撰す。五行志事應を書せず。尽く漢儒災異附會の説を破る。

○困學紀聞曰、歐陽公以河圖洛書為怪妄。東坡曰、著於易見於論語、不可誣也。南豊云、以非所習見、則果於以為不然。是以天地万物之変為可尽於耳目之所及。亦可謂過矣。文會筆録巻七。
【読み】
○困學紀聞に曰く、歐陽公河圖洛書を以て怪妄と為す。東坡曰く、易に著き論を見る語、誣す可からざるなり。南豊云う、習見する所に非ざるを以て、則ち以て然らずと為すに果す。是れ天地万物の変を以て耳目の及ぶ所に尽す可しと為す。亦過と謂う可し。文會筆録巻七。

○第十九條。時舉。即時舉録。潘子善。

○詩經啇頌玄鳥詩。天命玄鳥、降而生商。集傳。玄鳥、鳦也。春分玄鳥降。髙辛氏之妃、有娀氏女簡狄祈於郊禖。鳦遺卵。簡狄呑之而生契。礼記月令。仲春之月、玄鳥至。至之日、以大牢祀髙禖。義疏康成曰、玄鳥、燕。巣人堂宇、而宇乳。聚嫁之象也。媒氏之官以為候変媒。言禖者、神之也。髙辛之世、玄鳥遺卵、有娀簡狄呑之而生契。後王以媒官嘉祥、而立其祠。孔穎達曰、蔡邕以為、媒神自古有之。髙者尊也。毛詩傳、姜嫄従帝祠郊禖。簡狄従帝祈於郊禖。是簡狄前已有禖神矣。○朱子生民集傳、袚無子求有子也。古者立郊禖。盖祭於天郊、而以先媒配也。変媒言禖者、神之也。其礼以玄鳥至之日。用大牢祀之。
【読み】
○詩經啇頌玄鳥の詩。天玄鳥に命じ、降ろして商生まる。集傳。玄鳥は鳦なり。春分玄鳥降りる。髙辛氏の妃、有娀氏の女簡狄郊禖に祈る。鳦卵を遺す。簡狄之を呑みて契を生む。礼記月令。仲春の月、玄鳥至る。至るの日、大牢を以て髙禖に祀る。義疏康成曰く、玄鳥は燕なり。人の堂宇に巣して宇乳す。聚嫁の象なり。媒氏の官は以て候と為し媒を変ず。禖を言う者は、之を神するなり。髙辛の世、玄鳥卵を遺し、有娀簡狄之を呑みて契を生む。後王媒官の嘉祥以て、其の祠に立つ。孔穎達曰く、蔡邕以為らく、媒神古より之れ有り。髙は尊なり。毛詩の傳、姜嫄帝に従い郊禖に祠す。簡狄帝に従い郊禖に祈る。是れ簡狄の前已に禖神有るなり。○朱子の生民集傳、子無きを袚い、子有るを求むるなり。古者郊禖を立つ。盖し天を郊に祭り、而して先媒を以て配するなり。媒を変ずるを禖と言う者は、之を神にす。其の礼玄鳥至るの日を以てす。大牢を用いて之を祀る。

○姜嫄簡狄皆高辛帝嚳之妃。但姜嫄為適故曰髙辛之世妃。乃見后稷與契、皆帝嚳之子而異母兄弟也。史記殷本紀。簡狄為帝嚳次妃。
【読み】
○姜嫄簡狄は皆高辛帝嚳の妃なり。但し姜嫄は適と為す故に髙辛の世妃と曰う。乃ち后稷と契とは、皆帝嚳の子にして異母兄弟なるを見るなり。史記殷本紀。簡狄を帝嚳の次妃と為す。

○楚辞天間女妓無合夫。焉取九子。朱子集註。今答之曰、天下之理一而已。而有常変之不同。天下之気亦一而已。而有逆順之或異。夫乾道成男、坤道成女。凝体於造化之初、二氣交感化生万物。流形於造化之後者、理之常也。若姜嫄簡狄生稷契、則又不可以先後言矣。此理之変也。
【読み】
○楚辞天間女妓は夫れに合うこと無し。焉んぞ九子を取らんや。朱子集註。今之に答えて曰く、天下の理は一つのみ。而して常変の同じからざること有り。天下の気も亦一つのみ。而して逆順の或いは異なること有り。夫れ乾道は男を成し、坤道は女を成す。体を造化の初めに凝し、二氣交感して万物を化生す。形を造化の後に流く者は、理の常なり。姜嫄簡狄の稷契を生むが若きは、則ち又先後を以て言う可からず。此の理之れ変なり。

○史記髙祖本紀、父曰太公、母曰劉媼。嘗息大沢之陂。夢与神遇。是時雷電晦冥。太公往視則見蛟龍於其上。已而有身、遂産髙祖。為人隆凖而龍顔。
【読み】
○史記髙祖本紀に、父を太公と曰い、母を劉媼と曰う。嘗て大沢之陂に息う。夢に神と遇う。是の時雷電晦冥。太公往きて視れば則ち蛟龍を其の上に見る。已にして身有り、遂に髙祖を産む。人となりは隆凖にして龍顔なり。

○第二十條。問玄鳥詩。淳録。陳安卿。

○第二十一條。問先生。子蒙録。姓林氏。

○大雅文王篇。文王陟降、在帝左右。集傳。周公追述文王之德、以戒成王。言、文王既没而其神在天。下升一降、無時不在上帝之左右。是以子孫蒙其福沢、而君有天下也。春秋傳。天王追命諸侯之詞曰、叔父陟恪在我先王之左右、以佐事上帝。語意與此正相似。或疑、恪亦降字之誤。理或然也。
【読み】
○大雅文王篇。文王陟り降りて、帝の左右に在り。集傳。周公文王の德を追述して、以て成王を戒しむ。言う、文王既に没して其の神天に在り。下升一降、時として上帝の左右に在ざる無し。是れを以て子孫は其の福沢を蒙り、而して天下に君有す。春秋傳。天王諸侯を追命するの詞に曰く、叔父陟り恪んで我が先王の左右に在り、以て佐えて上帝に事える。語意と此れと正に相似たり。或るひと疑う、恪も亦降の字の誤り、と。理或いは然らん。

○胡亂。俗語。本五胡乱蕐。詳見蘭林公餘筆。
【読み】
○胡亂。俗語。五胡の蕐の乱れるに本づく。詳しくは蘭林公餘筆に見る。

○第二十二條。問下武。義剛録。黄毅然。

○大雅下武詩。集傳。下義未詳。或曰、當作文。下武維周世有哲王、三后在天、王配于京。集傳。哲王通言大王王季也。三后、大王、王季、文王也。在天既没、其精神上與天合也。王、武王也。此章美武王能纉大王王季文王之緒、而有天下也。
【読み】
○大雅下武詩。集傳。下の義未だ詳らかならず。或るひと曰く、當に文を作すべし。下武維周世に哲王有り、三后天に在して、王京に配す。集傳。哲王は大王王季を通じ言うなり。三后、大王、王季、文王なり。天に在し既に没し、其の精神上と天て合すなり。王は武王なり。此の章武王能く大王王季文王の緒を纉して天下を有すを美しむなり。

○金縢既克商二年、王有疾。周公乃自以功爲三壇。同墠為壇於南方、北面周公立焉。集傳。功、叓也。築土曰壇、除地曰墠。三壇、三王之位、皆南向。別為一壇北向。周公所立之地也。乃告大王王季文王。史乃冊祝曰、惟爾元孫某遘厲虐疾。若爾三王是有丕子之責于天、以旦代某之身。予仁若考、能夛材多藝能事鬼神。乃元孫不若旦多材多藝、不能事鬼神。集傳。元孫某、武王也。丕子、元子也。材藝、指服事役使而言。周公忠誠功至、欲代其死以□危急。其精神感動、故卒得命。今世之匹夫匹婦一念誠孝、猶足以感格鬼神、顕有應驗。而况於周公之元垩乎。是固不可謂無此理也。
【読み】
○金縢既に商に克ちて二年、王疾有り。周公乃ち自ら功を以て三壇を爲す。同墠壇を南方に為し、北面して周公に立つ。集傳。功は事なり。土を築くを壇と曰い、地を除くを墠と曰う。三壇は三王の位、皆南に向く。別に一壇を為し北に向く。周公の立つ所の地なり。乃ち大王王季文王に告ぐ。史乃冊祝して曰く、惟れ爾の元孫某、厲虐の疾に遘う。若し爾ち三王是れ丕子の責天に有れば、旦を以て某の身と代えよ。予仁にして考に若い、能く夛材多藝、能く鬼神に事うるならん。乃ち元孫旦の多材多藝に若ず、鬼神に事うること能わず。集傳。元孫某は武王なり。丕子は元子なり。材藝は服事役使を指して言う。周公の忠誠功至り、其の死に代えて以て危急を□すを欲す。其の精神感動する、故に卒に命を得る。今世の匹夫匹婦は一念の誠孝、猶以て鬼神を感格し、顕わに應驗有るに足る。而して况んや周公の元聖に於てや。是れ固より此の理無しと謂う可からず。

○晁以道。晁説之字、以道刻意経術、慕司馬文王為人、自号景迂。
【読み】
○晁以道。晁説の字は、以道意を経術に刻み、司馬文王の人となりを慕い、自ら景迂と号す。

○後漢書光武本紀二十一年冬。鄯善王等十六國皆遣子入侍。帝還其侍子厚加賞賜。史畧三。魏王責呉侍子不至。怒伐之。
【読み】
○後漢書光武本紀二十一年冬。鄯善王等十六國皆子を遣り入侍せしむ。帝其の侍子を還し厚く賞賜を加う。史畧三。魏王呉の侍子を責めて至らず。怒りて之を伐つ。

○伊川卻疑。周公不應自説多才夛藝。此言二程全書無之。盖朱子傳聞而舉之。
【読み】
○伊川卻って疑う。周公は自ら多才夛藝を説くを應ぜず。此の言は二程全書に之れ無し。盖し朱子傳聞して之を舉ぐ。

○第二十三條。林聞一。名賜。○不出録者。

○遺書。問、周公不知命乎。曰、周公誠心只是欲代其兄。更豈問命哉。劉元承手篇。
【読み】
○遺書。問う、周公は命を知らざるか。曰く、周公は誠心にして只是れ其の兄に代わらんを欲す。更の豈命を問わんや。劉元承手篇。

○第二十四條。髙宗。僩録。沈杜仲。

○説命上。王庸作書以誥曰、以台正于四方台。恐徳弗類。茲故弗言、恭黙思道。夢帝賚予良弼。其代予言、乃審厥象、俾以形旁求于天下説、築傅巖之野。惟肖。集傳、髙宗恭黙思道之心、純一不二与天無間、故夢寐之間、帝賚良弼。其念慮所孚、精神所格、非偶然而得者也。
【読み】
○説命上。王庸いて書を作り以て誥げて曰く、台が四方に正たるを以て台なり。徳の類弗きを恐る。茲の故に言弗く、恭黙して道を思う。夢に帝予に良弼を賚えり。其れ予に代わりて言う、乃ち厥の象を審らかにし、形を以て旁く天下に求めしむる説、傅巖の野に築す。惟れ肖たり。集傳に、髙宗恭黙して道を思うの心、純一二ならず天と間無し、故に夢寐の間、帝良弼を賚う。其の念慮の孚る所、精神の格る所、偶然にして得る者に非ざるなり。

○王皇大帝。宋史扈蒙傳。大宗使侍臣賦詩。微臣自愧頭如雪、亦德釣天侍王皇。韓退之詩、夜飲徹投廬同、乘雪共至王皇家。元楨詩、我是王皇、香案史、謫居猶得往蓬莱。晋天文志。釣陳、口中一星曰天皇大帝。
【読み】
○王皇大帝。宋史扈蒙が傳。大宗侍臣をして詩を賦さしむ。微臣頭雪の如きを自ら愧ずるも、亦德は天に釣しく王皇に侍る。韓退之が詩に、夜飲徹して廬同に投じ、雪に乘り共に至る王皇の家。元楨が詩、我是れ王皇、香案の史、謫居猶蓬莱に往くを得。晋の天文志、釣陳、口中一星を天皇大帝と曰う。

○第二十五條。夢之事。楊録。方顕道。此條最深長。是与程子大同小異處。詳見下三十八條。程説亦畧收之。
【読み】
○第二十五條。夢の事。楊録。方顕道。此の條は最も深長なり。是れ程子と大同小異の處。詳しくは下三十八條を見る。程説亦畧之を收む。

○第二十六條。蔡舉(下は心)。字行夫。不出録者。恐此人録。
【読み】
○第二十六條。蔡舉(下は心)。字は行夫。録者は出ず。恐らくは此の人の録。

○書經湯誥。王曰、嗟爾萬邦有衆。聽予一人誥。惟皇上帝、降衷于下民、若有恒性。克綏厥猷惟后。皇、大。衷、中。若、順。猷、道也。言、君道之係於天下者、如此之重也。泰誓上。王曰、嗟我友邦冢君、越我御事庶士、明聽誓。惟天地萬物父母、惟人萬物之靈。亶聰明作元后、元后作民父母。友邦、親之也。冢君、尊之也。御事、治事者。天之為民如此。則任元后之責者、可不知所作民父母之義乎。説命中。惟説命總百官、乃進于王曰、嗚呼、明王奉若天道、建邦設都、樹后王君公。承以大夫師長、不惟逸豫。惟以亂民、惟天聰明、惟聖時憲、惟臣欽若、惟民從乂。后王、天子。君公、諸候。天之聰明無所不聞、無所不見。無他、公而已矣。人君法天之聰明一出於公、則臣敬順而民亦従治矣。○細字皆蔡傳。
【読み】
○書經湯誥。王曰く、嗟、爾萬邦の有衆。予一人の誥ぐるを聽く。惟れ皇なる上帝、衷を下民に降ろし、若いて恒の性有り。克く厥の猷を綏すれば惟れ后。皇は大。衷は中。若は順。猷は道なり。言うこころは、君道の天下に係る者は、此の如きの重さなり。泰誓上。王曰く、嗟、我が友邦冢君、越び我が御事庶士、明に誓を聽く。惟れ天地は萬物の父母、惟れ人は萬物の靈。亶に聰明は元后と作り、元后は民父母と作る。友邦は之を親にするなり。冢君は之を尊するなり。御事は事を治むる者。天の民を為するは此の如し。則ち元后の責を任ずる者は、民の父母と作る所の義を知らざる可からず。説命中。惟れ説命をし百官總う、乃ち王に進みて曰く、嗚呼、明王天道に奉り若い、邦を建て都を設け、后王君公を樹つ。承るに大夫師長を以て、惟に逸豫するにあらず。惟れ亂民を以て、惟れ天聰明、惟れ聖時れ憲る、惟れ臣欽しみ若い、惟れ民從い乂る。后王は天子。君公は諸候。天の聰明は聞かざる所無く、見ざる所無し。他無し、公のみ。人君は天の聰明に法り一に公に出れば、則ち臣敬順して民も亦従い治まらん。○細字は皆蔡傳。

○第二十七條。董叔重。節要目録實記。名銖。饒州徳興之人。勉齊誌公墓。
【読み】
○第二十七條。董叔重。節要目録實記。名は銖。饒州徳興の人。勉齊公墓に誌す。

○盤庚。蔡傳。湯申之弟。自祖乙都耿、圯於河水。盤庚欲遷于殷。而大家世族安土。重遷胥動浮言。盤庚喩以利害。古我先生曁乃祖乃父胥及逸勤。茲予大享于先王。爾祖其従與享之作福作災。蔡傳。我大享于先王爾祖亦以功而配食於廟。先王与爾祖父臨之在上、質之在立、作福作災。我先后綏。乃祖乃父乃祖乃父、乃断棄汝不救乃死。乃祖乃父丕乃告我髙后曰、作丕刑于孫、迪高后丕乃崇降弗祥。蔡傳。其祖父亦告我成湯、作丕刑于子孫、啓成湯丕乃崇降弗祥、而不赦也。
【読み】
○盤庚。蔡傳。湯申の弟。祖乙の耿に都するより、河水に圯す。盤庚殷を遷さんと欲す。而して大家世族土に安んず。遷を重し胥い動いて浮言す。盤庚喩に利害を以てす。古我が先生曁び乃が祖乃が父胥い及に逸勤す。茲れ予大いに先王に享す。爾が祖も其れ従いて與に之を享け福を作し災を作す。蔡傳。我大いに先王に享す、爾が祖も亦功を以て廟に配食す。先王と爾が祖父と之に臨みて上に在りて、之を質し在立し、福を作し災を作す。我先后綏んず。乃が祖乃が父、乃ち汝を断棄して乃の死を救わず。乃の祖乃の父丕いに乃ち我髙后に告げて曰く、丕なる刑を孫に作す、高后に迪て丕いに乃ち崇に弗祥を降さん。蔡傳。其の祖父も亦我が成湯に告げ、丕なる刑を子孫に作し、成湯に啓て丕いに乃ち崇に弗祥を降ろして赦せざるなり。

○蔡傳。王氏曰、自成周以上莫不事死、如事生、事亡、如事存。故其俗皆嚴鬼神。以經考之、商俗為甚。史記。既本紀首書、楊愼曰、商俗質信鬼。按、此曰經者指商書諸篇而言。湯誓。予畏上帝。仲虺之誥。夏王有罪。矯誣上天、帝用不臧。湯誥。上下神祗、上天神后。伊訓。山川鬼神、亦莫不寧。太甲。上下神祗、社稷宗廟。又曰、鬼神無常享。咸有一徳。慢神虐民。又曰、俾作神主。又曰、七世之廟、可以観德。説命。黷于祭祀。事神則難。又曰、佑我烈祖、挌于皇天。高宗肜日。越有雊雉。典祀無豊于眤。
【読み】
○蔡傳。王氏曰く、成周より以上は死に事えること生に事えるが如く、亡に事えること、存に事えるが如くならざる莫し。故に其の俗は皆鬼神を嚴にす。經を以て之を考えるに、商の俗は甚だしと為す。史記。既の本紀の首書に、楊愼曰く、商の俗は質にして鬼を信ず。按ずるに、此に經と曰うは商書諸篇を指して言う。湯誓。予上帝を畏る。仲虺の誥。夏王罪有り。上天に矯誣し、帝用いて臧せず。湯誥。上下の神祗、上天神后。伊訓。山川鬼神、亦寧からざる莫し。太甲。上下神祗、社稷宗廟。又曰く、鬼神は常には享く無し。咸有り一徳。神を慢り民を虐す。又曰く、神の主と作らしむ。又曰く、七世の廟、以て德を観る可し。説命。祭祀を黷す。神に事えるは則ち難し。又曰く、我が烈を佑けて祖、皇天に格る。高宗肜日く。越に雊雉有あり。祀を典じ眤に豊する無し。

○第二十八條。鬼神死生。楊録。包顕道。按、釋家所云、如圭峯人死為鬼復為人、是也。世俗所見、如原鬼嘯梁觸胸、是也。
【読み】
○第二十八條。鬼神死生。楊録。包顕道。按ずるに、釋家の云う所は、圭峯の人死して鬼と為り復して人と為るが如き、是れなり。世俗の見る所は、原鬼の梁に嘯し胸に觸れるが如き、是れなり。

○光明經疏曰、神者能也。大力者能拔山填海。小力者能隠顕変化。肇師云、神受善悪親報。見形勝人。劣天身輕微難見。
【読み】
○光明經の疏に曰く、神なる者は能なり。大力なる者は能く山を拔き海を填む。小力なる者は能く隠顕変化す。肇師云う、神は善悪親報受く。形を見れば人に勝る。天に劣りて身は輕微にして見難し。

○第二十九條。因説鬼神。不出録者。

○第三十條。去偽録。金敬直。

○第三十一條。即廣録。輔漢卿。

○杜撰。杜氏撰八陽經、其註尤鄙拙。其實未詳、其中多誤。
【読み】
○杜撰。杜氏八陽經を撰し、其の註尤も鄙拙なり。其の實は未だ詳らかならず、其の中多く誤まれり。

○語類三曰、蜀中灌口一郎廟。一、唐本作二。恐是。當初是李冰因開離堆有功立廟。韻府、蜀守。李冰鑿離堆以息水患。地理誌。今来現許夛霊恠、乃是第二児出来。事物紀原廣濟王霊惠候見八巻。初間封為王、後来徽宗好道、謂他是甚麼眞君、遂改封為眞君向、張魏公用兵禱其廟。夜夢神語曰、我向来封爲王。有血食之奉。故威福用得行。今号為眞君。雖尊凡祭我以素食無血食之霊。今須復封我為王、當有威霊。魏公遂乞復其封。自是乃復殺数萬頭羊。不知、魏公是有此夢、還復一時用兵托為此説。
【読み】
○語類三に曰く、蜀中灌口一郎廟。一は、唐本二と作る。恐らくは是れなり。當初是れ李冰の離堆を開き功有るに因りて廟を立つ。韻府は蜀の守。李冰離堆を鑿ち以て水患息む。地理誌。今来許夛の霊恠を現わし、乃ち是れ第二の児出で来たる。事物紀原廣濟王霊惠候八巻に見る。初間封じて王と為り、後来徽宗道を好み、他た是れ甚だ麼の眞君と謂うより、遂に封を改め眞君と為し向き、張魏公兵を用うるとき其の廟に禱る。夜夢神語りて曰く、我向来封して王為り。血食の奉有り。故に威福用行を得たり。今号して眞君と為す。尊しと雖も凡そ我を祭るに素食を以てして血食の霊無し。今須らく復我を封じ王と為すべし、威霊有る當し、と。魏公遂に乞うて其の封を復す。是れより乃ち復数萬頭の羊を殺す。知らず、魏公は是れ此の夢有りや、還って復一時兵を用ゆ托して此の説を為すや。

○文會筆録五巻。趙岐曰、新鑄鐘殺牲、以血塗其釁、因以祭之、曰釁。周礼大祝曰、墮釁、逆牲逆尸、令鐘鼓。天府上春、釁寶鎮及寶器。
【読み】
○文會筆録五巻。趙岐曰く、新たに鐘を鑄て牲を殺し、血を以て其の釁を塗り、因りて以て之を祭る、釁と曰う。周礼大祝に曰く、墮釁は、牲を逆し尸を逆し、鐘鼓を令す。天府上春に、寶鎮及び寶器を釁る。

○周礼春宮。亀人掌六亀之屈。上春釁亀。
【読み】
○周礼春宮。亀人は六亀の屈を掌る。上春亀を釁る。

○韓文原道。郊焉而天神、假廟焉而人鬼饗。
【読み】
○韓文原道。郊にして天神、假廟にして人鬼饗す。

○祭時便有、祭了便無。
【読み】
○祭る時便ち有り、祭り了れば便ち無し。

○釈氏所以能服鬼神。
【読み】
○釈氏の以て能く鬼神に服する所。

○康節無名公傳。思慮未起、鬼神莫知。不由乎我、更由乎誰。
【読み】
○康節無名公の傳。思慮未だ起こらざれば、鬼神知る莫し。我に由らずして、更に誰に由らん。

○荘子天地篇曰、知天樂者無天怨。無人非無物累。無鬼責故其動也天、其静也地。一心定而王天下。其鬼不祟、其魂不疲。一心定而萬物服。
【読み】
○荘子天地篇に曰く、天の樂を知る者は天の怨み無し。人の非無ければ物累い無し。鬼の責無き故に其の動くや天、其の静なるや地。一心定まりて天下に王たり。其れ鬼祟らず、其の魂疲れず。一心定まりて萬物服す。

○第三十二條。或問今人。不出録者。

○輻湊。賈誼語。
【読み】
○輻湊。賈誼の語。

○夫妻子母用孟子文字。是人家事、非鬼神底物。盖潮弄意。神道者神巫道士。張李、如張三李四。大保、官名。嶷然、殿階上事、亦非鬼神的消息。皆有家日用事、所以甚可咲也。
【読み】
○夫妻子母は孟子の文字を用ゆ。是れ人家の事、鬼神底の物に非ず。盖し潮弄の意。神道は神巫道士。張李は、張三李四の如し。大保は官名。嶷然は殿階上の事、亦鬼神的の消息に非ず。皆有家日用の事、以て甚だ咲く可き所なり。

○第三十三條。或問鬼神。不出録者。

○第三十四條。董仁叔。不出録者。

○第三十五條。問百神享之。亦不出姓氏。

○第三十六條。陳安卿問語亦好問者耳。
【読み】
○第三十六條。陳安卿の問う語も亦好く問う者のみ。

○轉天為壽、轉禍為福。後漢書漢成帝鴻嘉二年。王音言曰、經載髙宗雊雉之異、以明轉禍為福之驗。
【読み】
○天を轉じて壽と為し、禍を轉じて福と為す。後漢書漢成帝鴻嘉二年。王音言いて曰く、經に髙宗雊雉の異を載せ、以て禍轉じて福と為すの驗を明にす。

○自省録曰、古記南斗司生、北斗捄死。請命皆於北斗。此乃術家那説耳。黔婁。特出於迫切之至情、徇俗為之耳。邪正不暇論也。其得愈、只是孝感所致。孝子至誠、動天地、致祥異、古今不可枚舉。
【読み】
○自省録に曰く、古記に南斗は生を司り、北斗は死を捄う。命を請うは皆北斗に於てす。此れ乃ち術家那説のみ。黔婁。特に迫切の至情に出て、俗に徇いて之を為すのみ。邪正は論ずるに暇あらず。其の愈ゆるを得て、只是れ孝感の致す所なり。孝子の至誠、天地を動かし祥異を致すは、古今枚舉す可からず。

○第三十七條。王祥孝感。謨録。周舜弼。

○内感。与次條考通看。程子曰、感而遂通。感則只是自内感。不是外面將一件物来感於此也。上繋辞大全収之。
【読み】
○内感。次條の考と通看せよ。程子曰く、感じて遂に通る。感じるは則ち只是れ内より感ず。是れ外面は一件の物を將ち来て此に感ずるにあらざるなり。上繋辞大全之を収む

○誠中来。伊川語。詳次考。
【読み】
○誠中来。伊川の語。次考に詳らかなり。

○第三十八條。問王祥孝感。可学録。鄭子上。

○遺書。伊川先生語。劉元承手編曰、問、天地明察神明彰矣。曰、事天地之義、事天地之誠既明察昭著、則神明自彰矣。問、神明感格否。曰、感格固在其中矣。孝弟之至通於神明。孝弟不是兩般事。只孝弟便是神明之理。又問、王祥孝感事、是通神明否。曰、此亦通神明一事。此感格便是王祥誠中来。非王祥孝於此而物来於彼也。
【読み】
○遺書。伊川先生の語。劉元承手編に曰く、問う、天地明察神明彰かなるや。曰く、天地に事えるの義、天地に事えるの誠既に明察昭著なれば、則ち神明自ら彰かなり。問う、神明感格するや否や。曰く、感格は固より其の中に在り。孝弟の至りは神明に通ず。孝弟は是れ兩般の事ならず。只孝弟便ち是れ神明の理なり。又問う、王祥孝感の事、是れ神明に通じるや否や。曰く、此れも亦神明に通ずる一事なり。此れ感格は便ち是れ王祥誠中より来る。王祥此に孝にして物彼より来るに非ざるなり。

○遺書。東見録後記曰、心所感通者、只是理也。如夢寐、皆無形。只是有此理。入關語録曰、夢説之事、是傅説之感髙宗之感傅説。髙宗只思得聖賢之人。須是聖賢之人始應其感。若傅説非聖賢、自不相感。如今人卜筮、蓍在手、事在未来、吉凶在書。使不合於理、則自不驗矣。劉元承手編曰、髙宗至誠、思得賢相寤寐不忘。故朕兆先見於夢。今人懐誠心求卜、有禱輒應。此理之常然。又問、髙宗夢往求傅説耶、傅説来入髙宗夢耶。曰、非彼来。譬如懸鏡於此。有物必照。非鏡往照物。亦非物来入鏡也。大抵心虚、善必先知之、不善必先知之。有所感必有所應。自然之理也。外書。胡氏本拾遺曰、風竹便是感應無心。粹言天地編。卜筮在我而應之者蓍亀也。祭祀。在我而享之者鬼神也。夫豈有二哉。亦一人之心而已。
【読み】
○遺書。東見録の後記に曰く、心の感通する所の者は、只是れ理なり。夢寐の如きは、皆形無し。只是れ此の理有り。入關語録に曰く、説を夢みるの事、是れ傅説の髙宗に感ずるを、之れ傅説に感ずるなり。髙宗は只聖賢の人を得るを思う。須らく是れ聖賢の人始めて其の感に應ずべし。若し傅説聖賢に非ざれば、自ら相感ぜず。今人の卜筮するが如き、蓍は手に在りて、事は未来に在り、吉凶は書に在り。理に合わざらしめば、則ち自ら驗ならず。劉元承手編に曰く、髙宗至誠、賢相を得るを思い寤寐忘れず。故に朕兆を先ず夢に見る。今人誠心を懐て卜を求め、禱有るに輒ち應ず。此の理之れ常に然り。又問う、髙宗の夢に往きて傅説を求めるや、傅説来て髙宗の夢に入るや。曰く、彼の来るに非ず。譬えば鏡を此に懸するが如し。物有れば必ず照らす。鏡往きて物を照らすに非ず。亦物来たり鏡に入るに非ざるなり。大抵心虚なれば、善は必ず先ず之を知り、不善は必ず先ず之を知る。感ずる所有れば必ず應ずる所有り。自然の理なり。外書。胡氏の本拾遺に曰く、風竹便ち是れ感應して無心なり。粹言天地編に、卜筮我に在りて之に應ずる者は蓍亀なり、と。祭祀に、我に在りて之を享る者は鬼神なり、と。夫れ豈二有るや。亦一人の心のみ。

○第三十九條。問聖人凡言。謨録。周舜弼。

○湯誥。天道福善禍淫。謙彔傳。鬼神害盈而福謙。
【読み】
○湯誥。天道善を福し淫を禍す。謙の彔傳。鬼神盈を害して謙を福す。

○祭義之文、宰我曰至神之著也、礼記本文。但又曰二字、問者所加、而又此間脱合鬼与神、教之至也八字。本文鬼之盛也、連合鬼、至也連衆生。此義散在于後、而説皆最詳細。
【読み】
○祭義の文、宰我曰うより神の著なりに至るまで、礼記の本文。但し又曰の二字、問う者加うる所、而して又此の間鬼と神とを合す、教の至りなりの八字を脱す。本文、鬼之盛也は、合鬼に連り、至也により衆生に連る。此の義後に散在して、説は皆最も詳細なり。

○此則不問、猶言無疑不稍同也。
【読み】
○此れ則ち問わずは、猶疑い無く同じきを稍いざるを言うがごとし。

○禮運。君與夫人交献以嘉魂魄。是謂合莫。鄭玄曰、莫、虚無也。孝經説曰、上通無莫。孔疏孝經緯文言、人之精霊上通於虚無寂寞。礼記集注曰、皆所以嘉善於死者之魂魄、而求以契合於冥漠之中也。又按、左氏昭公七年、先君鬼神實嘉頼之。
【読み】
○禮運。君と夫人と交献し以て魂魄を嘉ましむ。是れを合莫と謂う。鄭玄曰く、莫は虚無なり。孝經の説に曰く、上は無莫に通ず。孔疏孝經緯文言う、人の精霊上りて虚無寂寞に通ず。礼記集注に曰く、皆以て死者の魂魄を嘉善して、以て冥漠の中に契合するを求むる所なり。又按ずるに、左氏昭公七年、先君鬼神實に之を嘉頼す。

○答歐陽希遜書曰、来喩言如其神之在焉、非真有此者也。此言尤害理。若如此説、則是偽而已矣。宰我問答一章所論鬼神、正與中庸相表裏。今且先看令中庸意思分明、却看此章便見子細。文集。
【読み】
○歐陽希遜に答うる書に曰く、来喩の其れ神の在すが如き、真に此の者有るに非ざるを言うなり。此の言尤も理を害す。若し此の説の如ければ、則ち是れ偽のみ。宰我問答の一章、鬼神を論ずる所、正に中庸と相表裏す。今且つ先に看て中庸の意思分明ならしめて、却て此の章を看れば便ち子細を見る。文集。

○第四十條。鬼神只是氣。恪録。林叔恭。

○第四十一條。問鬼神。燾録。呂徳昭。

○言氣裏面神霊六字連讀。
【読み】
○言氣裏面神霊の六字は連讀す。

○第四十二條。或問以主宰。卓録。黄先之。

○以主宰謂之帝。乾程傳。
【読み】
○主宰を以て之を帝と謂う。乾程傳。

○荘子天運篇。天其運乎、地其處乎。日月其爭於所乎。孰主張是、孰綱維是、孰居無事推而行是。意者其有機緘而不得已乎。
【読み】
○荘子天運篇。天は其れ運るか、地は其れ處るか。日月は其れ所を爭うか。孰れか是れを主張し、孰れか是れを綱維し、孰れ居るか無事にして推して是れを行う。意うに其れ機緘有りて得て已まざるか。

○第四十三條。問天道福善。僩録。陳杜中。

○第四十四條。問生死鬼神。閑祖録。李守約。明作。周元興。

○淮南子曰、天氣為魂、地氣為魄。髙誘註曰、魂、人陽神也。魄、人隂神也。楚辞辨證。
【読み】
○淮南子曰く、天氣魂と為し、地氣魄と為す。髙誘註曰く、魂は人の陽神なり。魄は人の隂神なり。楚辞辨證。

○醫家。

○文會筆録十五巻曰、釈氏人死為鬼、鬼復為人。嘉按、見圭峯原人論。
【読み】
○文會筆録十五巻曰く、釈氏は人死して鬼と為り、鬼復人と為る。嘉按ずるに、圭峯原人の論に見る。

○不由造化生生。信謂、造化讀、而生生句也。文會筆録。和讀如此。恐是也。
【読み】
○造化に由らずして生生す。信謂う、造化は讀にして、生生は句なり。文會筆録。和讀此の如し。恐らくは是れなり。

○鬼火。淮南子。人血為燐。許慎曰、兵死之血為鬼火。燐者鬼火也。
【読み】
○鬼火。淮南子。人血燐と為る。許慎曰く、兵死の血鬼火と為る。燐は鬼火なり。

○家語。辨物篇。又國語魯語。季桓子穿井獲如土缶。其中有羊焉。使問之仲尼曰、吾穿井而獲物、何也。對曰、以丘之所聞羊也。丘聞之。木石之恠曰夔魍魎、水之怪曰竜罔象、土之怪墳羊。
【読み】
○家語。辨物篇。又國語の魯語。季桓子井を穿ち土缶の如きを獲る。其の中に羊有り。之を仲尼に問わしめて曰く、吾井を穿ちて物を獲る、何ぞや。對して曰く、丘の聞く所を以てすれば羊なり。丘之を聞く。木石の恠を夔魍魎と曰い、水の怪を竜罔象と曰い、土の怪を羵羊と曰う。

○漢書霍光傳。旁午、註、分布也。韻會。一縦一横曰旁午、猶言交横。
【読み】
○漢書霍光が傳。旁午、註、分布なり。韻會。一縦一横を旁午と曰う、猶交々横たわると言うがごとし。

○左傳。文伯曰、敝邑以政刑之不修冠盗充付。
【読み】
○左傳。文伯曰く、敝邑政刑の修まらざるを以て冠盗充付す。

○第四十五條。安卿問。不出録者。

○礼記郊特牲。魂氣歸于天、形魄歸于地。故祭求諸隂陽之義也。
【読み】
○礼記郊特牲。魂氣天に歸り、形魄地に歸る。故に祭は諸を隂陽の義に求む。

○横渠反原之説、集畧不載之。或問大全。張子曰、形聚為物、物潰反原。反原者其遊魂為変欤。或問呂氏改本、有所屈者不亡一句。乃形潰反原之意。張子他書亦有是説。而程子数辨其非。東見録中所謂、不必以既反之氣、復為方伸之氣者、其類可考也。謝氏説則善矣。但歸根之云、似亦微有反原之累耳。
【読み】
○横渠原に反るの説、集畧之を載せず。或問の大全。張子曰く、形聚りて物を為し、物潰れて原に反る。原に反る者は其れ遊魂変を為すか。或問呂氏改本に、屈する所の者亡びざるの一句有り。乃ち形潰れて原に反るの意なり。張子他書も亦是の説有り。而して程子数々其の非を辨ず。東見録の中に謂う所の、必ず既反の氣を以て、復方に伸の氣と為さざるは、其の類を考える可し。謝氏の説は則ち善し。但し根に歸るの云いは、亦微く原に反るの累い有るのみ。

○第四十六條。或問二氣五行。去偽録。金敬直。

○第四十七條。或問季路。時挙録。潘子善。

○第四十八條。問伊川。加孫録。葉味道。

○第四十九條。正卿。不出録者。

○第五十條。人傑録。万正淳。語類□録。問、尹子鬼神情状、只是解遊魂為変一句。即是神字亦作鬼字看了。曰、見伊川晩又性朴純。想、伊川亦不曽與他説。
【読み】
○第五十條。人傑録。万正淳。語類□が録。問う、尹子鬼神の情状、只是れ遊魂変を為すの一句を解く。即ち是れ神の字も亦鬼の字と作して看了る。曰く、伊川を見れば晩く又性朴純。想うに、伊川も亦曾て他と與に説かざらん。

○張子曰、精氣者自无而有。游魂者自有而无。自无而有、神之情也。自有而无、鬼之情也。自无而有、故顕而為物、神之状也。自有而无、故隱而為変、鬼之状也。繋辞傳大全。
【読み】
○張子曰く、精氣は无よりして有。游魂は有よりして无。无よりして有は神の情なり。有よりして无は鬼の情なり。无よりして有、故に顕われて物を為す、神の状なり。有よりして无、故に隱れて変を為す、鬼の状なり。繋辞傳大全。

○舜典。二十有八載、帝乃殂落。蔡傳。殂落、死也。死者、魂氣歸于天、故曰殂。體魄歸于地、故曰落。
【読み】
○舜典。二十有八載、帝乃ち殂落す。蔡傳。殂落は死なり。死は魂氣天に歸す、故に殂と曰う。體魄地に歸す、故に落と曰う。

○祭義。氣也者神之盛也。魄也者鬼之盛也。鄭玄註。氣謂嘘吸出入者也。耳目之聰明為魄。合鬼與神而祭之。聖人之教致之。
【読み】
○祭義。氣なる者は神の盛なり。魄なる者は鬼の盛なり。鄭玄註。氣は嘘吸出入する者を謂う。耳目の聰明を魄と為す。鬼と神とを合して之を祭る。聖人の教え之を致す。

○第五十一條。問其氣發揚。文蔚録。陳才卿。

○文會筆録六巻。答歐陽希遜書曰、昭明焄蒿悽愴。疏説非是。昭明謂光景。焄蒿謂氣象。悽愴使人神思灑淅。如漢書云風肅然者。
【読み】
○文會筆録六巻。歐陽希遜に答うる書に曰く、昭明焄蒿悽愴。疏の説是に非ず。昭明は光景を謂う。焄蒿は氣象を謂う。悽愴は人をして神思灑淅せしむ。漢書に風肅然と云う者の如し。

○鄭康成曰、焄謂香臭也。蒿謂氣蒸出貌也。先言衆生又言百物、明其與人同也。孔頴達曰、人氣之精魂發揚而升於上為神霊、光明也。或香或臭蒸而上出。其氣蒿然。此等之氣人聞之、其情有悽有愴。人與百物共同。按、孔疏以焄蒿為死者蒸出之氣、悽愴為人感此氣之情。此百物所同。昭明為人所獨。故曰、神之著分折最明。鬼神本是人與百物之魂魄。若直名魂魄其名不尊。聖人因人與物死之精霊尊、而名之為鬼神。祭義義疏。細字即義疏。○按、義疏與朱説異。
【読み】
○鄭康成曰く、焄は香臭を謂うなり。蒿は氣の蒸して出す貌を謂うなり。先ず衆生を言い又百物と言い、其れ人と同く明にするなり。孔頴達曰く、人氣の精魂發揚して上に升るを神霊と為す、光明なり。或いは香或いは臭蒸して上に出ず。其の氣蒿然。此れ等の氣、人之を聞き、其の情悽たる有り愴たる有り。人と百物と共に同じ。按ずるに、孔疏焄蒿を以て死者蒸出の氣と為し、悽愴を人の此の氣の情を感ずると為す。此れは百物の同じき所。昭明は人の獨する所と為す。故に神の著と曰う分折最も明なり。鬼神は本是れ人と百物との魂魄なり。若し直ちに魂魄と名づけては其の名尊からず。聖人は人と物との死するの精霊に因りて尊びて、之を名づけて鬼神と為す。祭義義疏。細字は即ち義疏。○按ずるに、義疏と朱説と異なれり。

○第五十二條。問其氣。徳明録。廖子晦。

○檀弓下。魯人有周豊也者。哀公使人問曰、有虞氏未施信於民、信之何也。對曰、墟墓之間、未施哀於民哀。
【読み】
○檀弓下。魯人に周豊なる者有り。哀公人をして問わしめて曰く、有虞氏未だ信を民に施さず、之を信ずるは何ぞや。對して曰く、墟墓の間、未だ哀を哀れむ民に施さず。

○第五十三條。問洋々。夔孫録。林子武。

○第五十四條。或問鬼神。不出録者。

○第五十五條。才卿。不出録者。

○集畧。張子曰、鬼神往来屈伸之義、故天曰神、地曰祇、人曰鬼。神示者歸之始、歸往者来之終。
【読み】
○集畧。張子曰く、鬼神往来屈伸の義、故に天に神と曰い、地に祇と曰い、人の鬼と曰う。神示は歸るの始め、歸往は来るの終わり。

○楚辞離騒。懐朕情而不發兮。余焉能忍而與此終古。集注。終古者古之所終、謂来日之無窮也。辨證。或問終古之義曰、開闢之初、今之所始也。宇宙之末古之所終也。考工記曰、輪已庳、則於馬終古登弛也。註曰、終古常也。正謂常如登弛無有已時。猶釈氏之言尽未来際也。
【読み】
○楚辞離騒。朕が情を懐んで發せず。余の焉んぞ能く忍んで此れと終古せん。集注。終古は古の終わる所、来日の窮まり無きを謂うなり。辨證に、或るひと終古の義を問いて曰く、開闢の初め、今の始まる所なり。宇宙の末は古の終わる所なり。考工記に曰く、輪已に庳れば、則ち馬に於て終古阤に登るなり。註曰く、終古は常なり。正に常に阤に登るが如く已む時有る無きを言う。猶釈氏の尽未来の際と言うがごとし。

○楚辞九章哀郢篇。方仲春而東遷云云。発郢都而去閭云云。將運舟而下浮兮。上洞庭而下江、去終古之所居兮。今逍遥而来東、羗霊魂之欲歸兮。何須臾而忘反。背夏浦而西思兮。哀故都之日遠。集註。羗一作嗟。○離騒。羗中道而改路。集註。羗楚人発語端之詞。猶言卿何為也。
【読み】
○楚辞九章哀郢篇。仲春に方て東に遷る云云。郢都を発して閭に去る云云。運舟を將って下に浮ぶ。洞庭に上って江に下り、終古の居る所を去る。今逍遥して東に来、羗に霊魂歸さんと欲す。何ぞ須臾にして反るを忘れん。夏浦に背いて西を思う。故都の日遠を哀しむ。集註。羗は一に嗟と作す。○離騒。羗に中道にして路を改む。集註。羗は楚人の語端を発くの詞。猶卿ち何為を言うがごとし。

○祭義。燔燎羶薌。見以蕭光、以報氣也。羞肝肺、□心、間以俠甒。加以鬱鬯、以報魄也。又郊特牲。加明水、報隂也。燎燎升首、報陽也。
【読み】
○祭義。羶薌を燔燎す。見るに蕭光を以てし、以て氣に報いるなり。肝肺、首心に羞じ、間に俠甒を以てす。加うるに鬱鬯を以てし、以て魄に報いるなり。又郊特牲。明水を加うるは、隂に報いるなり。燔燎は首に升り、陽に報いるなり。

○説文。示字以有所示為義。故視字従示。天之氣生而不息、故曰神。地之氣顕然示人、故曰示。語類。
【読み】
○説文。示の字は示す所有るを以て義と為す。故に視の字は示に従う。天の氣生じて息まず、故に神と曰う。地の氣顕然として人に示す、故に示と曰う。語類。

○言行後集十二。劉安世元城、字器之。大名人。事神宗哲宗至左諫議大夫。公與温公為同年。因遂従学。惇下用事必欲致公於死。故方竄廣東、則移廣西、既抵廣西、則復徙廣東。人皆謂、公必死。然七年之間、未嘗一日病。幾八十堅悍不衰。此非人力所及。或問、何以至此。曰、誠而已。又曰、詔劉安世移梅州安置。安世論禁中雇乳母。謂親女寵。論不御経筵。惑酒色。誣罔聖躬。形章疏。公在貶所有土豪。持厚貲入京求見。惇直以能殺公意達之。惇見之不數日薦上殿、除本路轉運判官。其人飛馭徑驅至公貶所。郡將遺其客来勸公治後事。涕泣以言。公色不動留客飲酒談笑自若。俄報、運使翌日當至。家人號泣不食、且治身後事。公飲食如平常。至夜半伺公、則酣寢鼻息如雷。乃運判一夕嘔血而斃矣。明日有客唁曰、若人不死則未可知矣。然公亦無喜色。處死不乱如此。又曰、公自宣和元日以後謝絶賓客。夏六月丙午、忽大風飛瓦驟雨如注。昼晦於公正寢、人皆駭懼而走。及雨止辨色、公已終矣。蘓子瞻曰、器之眞鉄漢、不可及。
【読み】
○言行後集十二。劉安世元城、字は器之。大名の人。神宗哲宗に事え左諫議大夫に至る。公と温公と同年為り。因りて遂に従学す。惇下事を用いんや必ず公を死に致さんと欲す。故に廣東に竄れるに方っては、則ち廣西に移し、既に廣西に抵れば、則ち復廣東に徙す。人皆謂う、公は必ずや死せん、と。然るに七年の間、未だ嘗て一日も病まず。幾八十堅悍衰えず。此れ人力の及ぶ所に非ず。或るひと問う、何を以て此れに至るか、と。曰く、誠のみ。又曰く、劉安世に詔し梅州に移し安置す。安世禁中に乳母を雇うを論ず。女寵を親せんと謂う。経筵に御せざるの論なり。酒色に惑う。聖躬を誣罔す。章疏に形す。公貶所に在りて土豪有り。厚貲を持ち京に入り見るを求む。惇直に能く公を殺すの意を以て之に達す。惇之を見て數日ならずして薦して上殿し、本路の轉運判官を除す。其の人馭を飛ばし徑に驅り公の貶所に至らしむ。郡將に其の客を遺りて来て公に後事を治めよと勸む。涕泣して以て言う。公は色を動かさず客を留め酒を飲み談笑して自若たり。俄に報ず、運使翌日當に至るべし。家人號泣し食わずして、且つ身後の事を治む。公の飲食平常の如し。夜半に至り公を伺えば、則ち酣寢鼻息雷の如し。乃ち運判一夕血を嘔きて斃れり。明日客有り唁うて曰く、若の人死せずんば則ち未だ知る可からず。然るに公は亦喜色無し。死に處して乱れざること此の如し。又曰く、公は宣和元日より以後賓客を謝絶す。夏六月丙午、忽ち大風瓦を飛ばせ驟雨注ぐが如し。昼公の正寢に晦り、人皆駭懼して走る。雨止み色を辨ずるに及び、公已に終れり。蘇子瞻曰く、器之は眞の鉄漢、及ぶ可からず、と。

○史記孝武本紀。三才一郊。是時上求神君、舎之上林中。蹏氏觀。神君者長陵女子以子死悲哀、故見神於先後宛若、宛若祠之其室。民夛往祠。其後子孫以尊顕。及武帝即位、則厚礼置祠之内中聞其言。不見其人。明年天子病。使人問神君。神君言曰、天子毋憂病。於是病愈。聞其音與人言等。時去時来。来則風肅然也。
【読み】
○史記孝武本紀。三才一郊。是の時上は神君を求め、之を上林中に舎つ。蹏氏觀。神君は長陵の女子、子の死を以て悲哀す、故に神を先後の宛若に見て、宛若に之を其の室に祠る。民夛く往きて祠る。其の後子孫を以て尊顕なり。武帝位に即くに及び、則ち礼を厚くし之を内中に置祠し其の言を聞く。其の人を見ず。明年天子病す。人をして神君に問わしむ。神君言いて曰く、天子病を憂うる毋れ。是に於て病愈ゆ。其の音を聞いて人の言と等し。時去り時来る。来れば則ち風肅然なり。

○遺書曰、漢武帝之見李夫人、只為道士先説與在甚處使、端目其地。故想出也。(武帝作詩曰、是邪非邪。又曰、風肅然。)然起於人心恐怖、要之風是天地間氣、非土偶人所能為也。漢時神君今日二郎廟、皆有之。東見録後記。
【読み】
○遺書曰く、漢武帝の李夫人を見る、只道士先ず甚の處在りと説與せしめ、目を其の地に端す。故に想より出ず。(武帝詩を作りて曰く、是か非か。又曰く、風肅然。)然るに人心に恐怖の起こる、之を要せば風は是れ天地間の氣、土偶人の能く為す所に非ざるなり。漢の時神君今日二郎廟、皆之れ有り。東見録後記。

○第五十六條。問以功用。僩録。沈杜仲。

○第五十七條。叔器問。義剛録。黄毅然。

○第五十八條。人生。淳録。陳安卿。

○答董叔重書曰、既生魄陽曰魂。謂纔有魄、便有魂。自初受胞胎時已具足矣。不可言漸有所知、然後為魂。文會筆録六。
【読み】
○董叔重に答うる書に曰く、既に魄生じれば陽を魂と曰う。纔に魄有れば、便ち魂有りと謂う。初めて胞胎を受ける時より已に具足たり。漸く知る所有りて、然る後に魂為ると言う可からず。文會筆録六。

○第五十九條。安卿問。無録者。體與魂之魄、當作魄。
【読み】
○第五十九條。安卿問。無録者。體と魂之魂、當に魄と作すべし。

○左傳昭公廿五年。宋公享昭子、語相泣。樂祁告人曰、其皆死乎。吾聞之。哀樂、可樂而、而樂哀。可哀而樂、皆喪心也。心之精爽是謂魂魄。魂魄去之何以能久。為此冬卒傳。
【読み】
○左傳昭公二十五年。宋公昭子を享き、語りて相い泣く。樂祁人に告げて曰く、其れ皆死なんや。吾之を聞き、樂を哀しみ、樂可くして、而して哀を樂す。哀可くして樂、皆喪心なり。心の精爽を是れ魂魄と謂う。魂魄去之き何を以て能く久しからん。此れ冬卒傳為り。

○楚辞辨證。或問魂魄之義。曰、子産有言。物生始化、曰魄。既生魄陽曰魂。孔子曰、氣也者神之盛也。魄也者鬼之盛也。鄭氏曰、嘘吸出入者氣也。耳目之精明為魄。氣則魂之謂也。淮南子曰、天氣為魂、地氣為魄。髙誘註曰、魂、人陽神也。魄、人隂神也。此数説者、其於魂魄之義詳矣。盖嘗推之物生始化云者、謂受形之初精血之聚。其間有霊者、名之曰魄。既生魄陽曰魂者、既生此魄便有暖氣。其間有神者、名之曰魂也。二者既合然後有物。易所謂精氣為物者、是也。及其散也、則魂遊而為神、魄降而為鬼矣。説者乃不考此而但据左疏之言。其以神霊分隂陽者、雖若有理、但以嘘吸之動者為魄、則失之。其言附形之霊、附氣之神、似亦近是。但其下文所分又免於有差。其謂魄識少而魂識多、亦非也。但有運用畜藏之異耳。
【読み】
○楚辞辨證。或るひと魂魄の義を問う。曰く、子産言える有り。物生じて始めて化する、魄と曰う。既に魄生じて陽を魂と曰う。孔子曰く、氣なる者は神の盛なり。魄なる者は鬼の盛なり。鄭氏曰く、嘘吸出入は氣なり。耳目の精明を魄と為す。氣とは則ち魂の謂いなり。淮南子曰く、天氣魂と為し、地氣魄と為す。髙誘が註に曰く、魂は人の陽神なり。魄は人の隂神なり。此の数説の者は、其れ魂魄の義に於て詳しきなり。盖し嘗て之を推すに物生じて始めて化すると云う者は、形を受くるの初め精血の聚まりを謂う。其の間に霊なる者有り、之を名づけて魄と曰う。既に魄生じて陽を魂と曰う者は、既に生じて此の魄は便ち暖氣有り。其の間に神者有り、之を名づけて魂と曰うなり。二者既に合して然る後物有り。易に謂う所の精氣物を為す者は是れなり。其の散ずるに及ぶや、則ち魂遊して神と為り、魄降りて鬼と為る。説く者は乃ち此を考えずして但左疏の言に据える。其れ神霊を以て隂陽を分かつ者は、理有るが若しと雖も、但嘘吸の動なる者を以て魄と為せば、則ち之を失す。其れ形に附くの霊、氣に附くの神は、亦是れに近きに似る。但其の下文の分かつ所も又差い有るを免がれず。其れ魄識少なくして魂識多しと謂うも亦非なり。但運用畜藏の異有るのみ。

○第六十條。問孔子。泳録。胡伯豊。聰明為魂之魂、當作魄。
【読み】
○第六十條。問孔子。泳録。胡伯豊。聰明魂を為すの魂、當に魄と作すべし。

○火日、外影。金水、内影。
【読み】
○火日は外影。金水は内影。

○第六十一條。問氣也者神。燾録。呂徳昭。

○隂為野土。鄭玄曰、隂讀為依蔭之蔭。言人之骨肉蔭於地中為土。
【読み】
○隂は野土と為る。鄭玄曰く、隂は讀で依蔭の蔭為り。人の骨肉の地中に蔭し土と為るを言う。

○老子第十章。載営魄抱一、能無離乎。載、猶處。営魄、人之常居處也。一、人之眞也。言、人能處常居之宅、抱一、清神。常無離乎、則萬物自賓也。專氣致柔、能嬰兒乎。專、任也。致、極也。言、任自然之氣致至柔之和、能若嬰児之無所欲乎。則物全而性得矣。滌除玄覽、能無疵乎。玄、物之極也。言、能滌除邪飾至於極覧、能不以物介其明疵之。其神乎。則終與玄同也。○王弼註。
【読み】
○老子第十章。営魄を載せ一を抱く、能く離れること無からん。載は猶處のごとし。営魄は人の常に居る處なり。一は人の眞なり。言うこころは、人能く常居の宅に處り、一を抱けば、神を清む。常に離れること無からんは、則ち萬物自ら賓たり。氣を專らにし柔を致せば、能く嬰兒ならん。專は任なり。致は極なり。言うこころは、自然の氣に任じて至柔の和を致せば、能く嬰児の欲する所無きが若くならん。則ち物全くして性を得るなり。玄覽を滌除し、能く疵無からん。玄は物の極なり。言うこころは、能く邪飾を滌除し極覧に至れば、能く物を以て其の明に介して之を疵つけず。其れ神か。則ち終に玄と同じなり。○王弼註。

○楚辞第五遠遊篇。山蕭條而無獸兮、家漠其無人。載営魄而登霞兮、淹浮雲而上往。朱子註。上句記時物、下二句言以此時昇仙而去也。載、猶加也。営、猶熒々也。魄説見九歌矣。九歌国殤曰、身既死兮神以霊、魂魄毅兮為鬼雄。朱子註曰、魂魄死者之神霊。盖魂神而魄霊。魂氣而魄精。魂陽而魄隂。魂動而魄静。生則魂載其魄、魄撿其魂。死則魂遊散而歸于天、魄淪墮而歸于地也。此言熒魄者隂霊之聚、若有光景也。盖魄不受魂、魂不載魄、則魂遊魄降而人死矣。故脩錬之士必使魂常附魄、如月光之載月質、魄常検魂、如月質之受日光。則神不馳而魄不死、遂能登仙。信謂、先生此註疏説、老屈揚三家而無礙。
【読み】
○楚辞第五遠遊篇。山は肅條して獸無く、家は漠として其れ人無し。営魄を載せて登霞し、浮雲を掩って上り征く。朱子の註に、上が句は時物を記す、下二句は此の時を以て昇仙して去るを言うなり、と。載は猶加うるがごとし。営は猶熒々なるがごとし。魄の説は九歌に見る。九歌国殤曰く、身既に死し神以て霊、魂魄毅くして鬼の雄と為す。朱子註に曰く、魂魄は死者の神霊。盖し魂は神にして魄は霊。魂は氣にして魄は精。魂は陽にして魄は隂。魂は動にして魄は静。生は則ち魂其の魄を載せ、魄は其の魂を撿す。死は則ち魂遊散して天に歸し、魄は淪墮して地に歸すなり。此に熒魄と言うは隂霊の聚まること、光景有るが若きなり。盖し魄の魂を受けず、魂の魄に載らざれば、則ち魂遊魄降して人死す。故に脩錬の士は必ず魂常に魄に附ること、月光の月質に載るが如く、魄常に魂を検すること、月質の日光を受けるが如くならしむ。則ち神馳せずして魄死なず、遂に能く登仙す。信謂う、先生の此の註の疏説、老屈揚三家にして礙げる無し。

○楚辞辨證下。屈子載営魄。之言本於老氏、而揚雄又因其語以明月之盈闕。其所指之事雖殊、而其立文之意則一。盖以車承人謂之載、則古文央類夛有之。如漢紀云、劉章従謁者與載、韓信云、婦人以孺子載。盖皆此意、而今三子之言其字義亦如此也。但老子屈子以人之精神言之。則其営者字與熒同、而為晶明光炯之意。其所謂魄、則亦若余之所論於九歌者耳。楊子以日月之光明論之。則固以月之体質為魄、而日之光耀為魂也。以人之精神言者、其意盖以魂陽動而魄隂静、魂火二而魄水一。故曰載営魄抱一、能勿離乎。以魂加魄、以動守静、以火迫水、以二守一、而不相離。如人登車而常載於其上、則魂安静而魄精明、火不燥而水不溢。固長生久。視之要訣也。説者不深考。如河上公之言老子、以営為魂、則固非字義。信謂、林希逸拠之。故老子注、魄以載営則為衆人、営以載魄則為聖人。而又幷言人載魂魄之上、則又失其文義。獨其載字之義粗為得之。若王輔嗣以載為處、以営魄人所常居之處、則亦河上之意。近世蘓子由王元澤、皆以魂為神、以魄為物、而欲使神常載魄以行、不欲使神為魄之所載。洪慶善亦謂、陽氣充魄為魂。魂能運動、則其生全矣。以載為以車承人之義、不唯非文意、且若如此、則是將使魂常労働而魄亦不得以少息。雖幸免於物欲沈溺之累、而窈冥之中精一之妙反為強陽所挾、以馳騖於紛拏膠擾之塗、卒以陥於衆人傷生損壽之域、而不自知也。其於二子之意如何哉。若其説楊子者、以載為哉、解魄為光、為乖謬。唯近歳王伯照以為、未望魄為明、所載似得其理。既而又曰既望明為魄、所終則是下句當曰終明、而不當為終魄矣。以此推之、恐於上句文意之郷背亦未免為自下而載上也。
【読み】
○楚辞辨證下。屈子載営魄。之れ本老氏に言い、而して揚雄又其の語に因りて以て月の盈闕を明にす。其の指す所の事殊と雖も、而して其の文を立てるの意は則一なり。盖し車を以て人を承る、之を載と謂う、則ち古文央類夛く之れ有り。漢紀に、劉章謁者に従い與に載ると云い、韓信の、婦人孺子を以て載ると云うが如し。盖し皆此の意にして、今三子の言、其の字義亦此の如し。但老子屈子は人の精神を以て之を言う。則ち其の営という字は熒と同じくして、晶明光炯の意為り。其の謂う所の魄は、則ち亦余の九歌を論ずる所の者の若きのみ。揚子日月の光明を以て之を論ずれば、則ち固より月の体質を魄と為し、日の光耀を魂と為すなり。人の精神を以て言う者は、其の意盖し魂陽動して魄隂静、魂火二にして魄水一を以てす。故に営魄を載せ一を抱く、能く離れること勿からんと曰う。魂を以て魄に加え、動を以て静を守り、火を以て水に迫り、二を以て一を守りて相離れず。人車に登りて常に其の上に載るが如くなれば、則ち魂安静して魄精明、火燥ならずして水溢れず。固より長生久し。視の要訣なり。説く者は深く考えず。河上公の老子に言う、営を以て魂と為るが如ければ、則ち固より字義に非ず。信謂う、林希逸の之れに拠る。故に老子注、魄以て営に載れば則ち衆人と為り、営以て魄に載れば則ち聖人と為す。而して又人魂魄の上に載ると幷せ言うは、則ち又其の文義を失えり。獨り其の載の字の義粗に為して之を得たり。王輔嗣の載を以て處と為し、営魄を以て人の常に居る所の處の若き、則ち亦河上の意なり。近世蘇子由王元澤、皆魂を以て神と為し、魄を以て物と為し、而して神は常に魄に載り以て行かしむるを欲し、神をして魄の為に之れ載せる所ならしむるを欲せず。洪慶善亦謂う、陽氣魄に充ちるを魂と為す。魂能く運動しれば、則ち其の生全し。載を以て、車を以て人を承るの義、唯文意に非ざるのみならず、且つ若し此の如くなれば、則ち是れ將に魂は常に労働して魄も亦以て少く息むを得ざらしめんとす。幸いに物欲沈溺の累を免れると雖も、而して窈冥の中、精一の妙反って強陽の為めに挾まる所、紛拏膠擾の塗に馳騖し、卒に以て衆人生を傷り壽を損するの域に陥り、而して自ら知らず。其の二子の意に於てや如何ぞ。其の揚子を説く者、載を以て哉と為し、魄を解して光と為すが若きも、乖謬たりと為す。唯り近歳王伯照以為らく、未望は、魄は明の為に載せる所と、其の理を得るに似たり。既にして又既望と曰えば、明の魄の為に終わる所、則ち是れ下句は當に明を終えると曰うべくして、當に魄を終えると為すべからず。此を以て之を推せば、恐らくは上句に於ても文意の郷背亦未だ下よりして上に載すと為すを免れず。

○讀書録十六曰、魏公子無忌従車騎虚左迎侯生、生直上載公子上座。此載字亦加載之意。与老子屈子揚子載魄之載字義同。
【読み】
○讀書録十六に曰く、魏公子無忌車騎に従い左を虚して侯生を迎え、生直に上り公子の上座に載る。此の載の字も亦加載の意。老子屈子揚子の載魄の載字と義同なり。

○龍虎鈆永。参同契註、鈆永砂銀相拠於土。又丹書所謂鈆永、皆此喩也。不當舎吾身而求之也。又鈆永相交結為夫婦。
【読み】
○龍虎鈆永。参同契の註に、鈆永砂銀は土に相拠る。又丹書に謂う所の鈆永は、皆此喩なり。當に吾が身を捨てて之を求むるべからず。又鈆永相交々結びて夫婦と為す。

○第六十二條。問陽魂。銖録。董叔重。

○梁文叔問、鄭康成所説、信謂、即祭義註。氣魄。信謂、即孔子本文。雜学辨云、精聚則魄聚。氣聚則魂聚。盖精是隂氣、如耳目之聰明。乃隂精之所為故謂之魄。或欲於魄中求魂、魂中求魄。瑑竊謂、氣在人之一身。陽即為魂、隂則為魄。嘘吸聰明乃是一身之中。魂魄之所發見而易見者耳。恐不必於魂中求魄、魄中求魂也。曰、精氣周流充滿於一身之中、嘘吸聰明乃其發而易見者、固如来喩。然既周流充滿於一身之中、則鼻之知臭、口之知味、非魄耶。耳目之中皆有暖氣、非魂耶。推之遍體、莫不皆然。佛書論四大處似又祖述此意。又問、体魄帰于地。先生曰、體魄自是両物。不知、如何分別。以目之明言之、則目之輪一成而不可変者体也。晴中之明而能照鑑萬象者魄也。魄既降、則目之輪雖存、而其精光則無矣。以耳之聰求之、□□□未透。盖耳但見其竅而不見其他故也。曰、所論目之體魄得之。耳則竅、即体也。何暇他求耶。又問、体魄既是両物。不知、魂與氣亦為両物否。孔頴達謂、魂附於氣。中庸或問直指康成之説、則孔氏之説亦未得為通論。体魄従前所聞、只指為一物。是以今人言目魄、亦皆以黒處為魄。若以眼光落地之説推之、竊恐、月之全輪受光處為魄、及其月光漸虧、亦如人之魄降。其黒處却是體。註疏之説皆不然。思之未通。曰、魂氣細推之、亦有精粗。但其為精粗也微。非若體魄之懸殊耳。或問之意、誠少子細也。所論月魄、恐不然。日月不可以体言、只有魂魄耳。月魄即其全体而光處乃其魂之發也。又問、且鬼神魂魄就一身、而総言之不外乎隂陽二氣而已。然既謂之鬼神、又謂之魂魄何耶。瑑竊謂、以其屈伸往来而言故謂之鬼神、以其霊而有知有覚而言故謂之魂魄。曰、鬼神通天地間一氣而言、魂魄主於人身而言。方氣之伸精魄固具。然神為主。及氣之屈魂氣雖存、然鬼為主。氣尽則魄降而絶於鬼矣。故人死曰鬼。文集。○文會筆録六。
【読み】
○梁文叔問う、鄭康成の説く所、信謂う、即ち祭義の註。氣魄。信謂う、即ち孔子の本文。雜学辨云う、精聚まれば則ち魄聚まる。氣聚まれば則ち魂聚まる。盖し精は是れ隂氣、耳目の聰明の如し。乃ち隂精の為す所故に之を魄と謂う。或いは魄中に魂を求め、魂中に魄を求めんと欲す。瑑竊かに謂う、氣は人の一身に在る。陽は即ち魂と為り、隂は則ち魄と為る。嘘吸聰明は乃ち是れ一身の中。魂魄の發見する所にして見易き者のみ。恐らくは必ずしも魂中に魄を求めず、魄中に魂を求むるなり。曰く、精氣一身の中に充滿して周流し、嘘吸聰明は乃ち其の發して見易き者は、固より来喩の如し。然るに既に一身の中に充滿して周流する、則ち鼻の臭を知り、口の味を知るは、魄に非ずや。耳目の中に皆暖氣有り、魂に非ずや。之を遍體に推すに、皆然らざる莫し。佛書に四大を論ずる處、又此の意を祖述するに似る。又問う、体魄地に帰す。先生曰く、體魄は自ら是れ両物なり。知らず、如何か分別せん。目の明を以て之を言えば、則ち目の輪一たび成って変ずる可からざる者は体なり。晴中之れ明にして能く萬象を照鑑する者は魄なり。魄既に降れば、則ち目の輪存すると雖も、而して其の精光は則無し。耳の聰を以て之を求むるに、□□□未だ透らず。盖し耳は但其の竅なるを見て其の他を見ざる故なり。曰く、論ずる所の目の體魄は之に得たり。耳は則ち竅、即ち体なり。何ぞ他に求むるに暇あらん。又問う、体魄は既に是れ両物。知らず、魂と氣とは亦両物為りや否や。孔頴達謂う、魂は氣に附す。中庸或問直に康成の説を指せば、則ち孔氏の説も亦未だ通論と為すを得ず。体魄従前聞く所は、只指して一物と為す。是れを以て今人目魄と言うも、亦皆黒處を以て魄と為す。若し眼光地に落つるの説を以て之を推すに、竊に恐る、月の全輪光を受ける處を魄と為し、其の月光漸く虧るに及んで、亦人の魄降りるが如し。其の黒處は却って是れ體なり。註疏の説は皆然らず。之を思って未だ通ぜず。曰く、魂氣細かに之を推すに、亦精粗有り。但其れ精粗と為るや微なり。體魄の懸に殊るが若きに非ざるのみ。或問の意、誠に子細少なし。論ずる所の月魄、恐らくは然らず。日月は体を以て言う可からず、只魂魄有るのみ。月魄は即ち其れ全体にして光る處は乃ち其の魂の發なり。又問う、且つ鬼神魂魄一身に就いて、総て之を言えば隂陽の二氣に外ならざるのみ。然るに既に之を鬼神と謂い、又之を魂魄と謂うは何ぞや。瑑竊に謂う、其の屈伸往来を以て言う故に之を鬼神と謂い、其の霊にして知ること有り覚ること有るを以て言う故に之を魂魄と言う。曰く、鬼神は天地間の一氣に通じて言い、魂魄は人身を主として言う。氣の伸びるに方って精魄固より具わる。然るに神を主と為す。氣の屈するに及んで魂氣存すると雖も、然れども鬼を主と為す。氣尽きれば則ち魄降りて鬼に絶つなり。故に人の死を鬼と曰う。文集。○文會筆録六。

○第六十三條。問魂魄。賜録。白林聞。

○遺書二巻。謝顕道記憶曰、問鬼神有無。曰、待説與賢道没時、古人却因甚如此道。待説與賢道有時、又却恐賢問某尋。明道語。
【読み】
○遺書二巻。謝顕道記憶に曰く、鬼神の有無を問う。曰く、待し賢に説與して没しと道う時、古人却って甚に因り此の如く道う。待し賢に説與して有りと道う時、又却って恐らくは賢某に問い尋ねん。明道の語。

○上蔡語録。余問死生之説。謝子曰、人死時氣盡也。曰、有鬼神否。謝子曰、余當時又曽問明道先生。明道曰、待向你道無来、你怎生信得及、待向你道有来、你去尋討看。謝氏曰、此便是答底語。又曰、横渠説得来別。
【読み】
○上蔡語録。余死生の説を問う。謝子曰く、人の死する時に氣盡きるなり。曰く、鬼神有りや否や。謝子曰く、余當時又曾て明道先生に問う。明道曰く、待し你に向って無しと道い来れば、你怎生ぞ信じ得及ばん、待し你に向って有りと道い来れば、你去って尋討看ん。謝氏曰く、此れ便ち是れ答底の語なり。又曰く、横渠説き得来るは別なり。

○曲礼。天子祭天地、祭四方、祭山川、祭五祀、歳徧。諸侯方祀、祭山川、祭五祀、歳徧。大夫祭五祀、歳徧。士祭其先。王制。天子祭天地、諸侯祭社稷、大夫祭五祀。
【読み】
○曲礼。天子天地を祭り、四方を祭り、山川を祭り、五祀を祭り、歳ごとに徧ず。諸侯方祀、山川を祭り、五祀を祭り、歳ごとに徧ず。大夫五祀を祭り、歳ごとに徧ず。士其の先を祭る。王制。天子天地を祭り、諸侯社稷を祭り、大夫五祀を祭る。

○第七十一條。汪德輔。字長。不出録者。

○第七十二條。問人。不出録者。姓氏。

○王制。天子諸侯祭因國之在其地、而無主後者。
【読み】
○王制。天子諸侯因國の其の地に在りて主後無き者を祭る。

○第七十三條。夔孫録。林子武。

○周礼。小宗伯右社稷左宗廟、兆五帝於四郊。又司服掌王之吉凶衣服。王之吉服祀旻天上帝、則服大裘而冕。祀五帝亦如之。淮南子天文訓曰、何謂五星。東方木也。其帝大皥。伏羲氏有天下之号、死託祀於東方之帝。南方火也。其帝炎帝。以火徳。王天下曰、神農氏死託祀於南方之帝。中央土也。其帝黄帝。以土徳。王天下号、軒轅氏死託祀於中央之帝。西方金也。其帝少旻。黄帝之子。以金徳。王曰、金天氏死託祀於西方之帝。北方水也。其帝顓頊。黄帝之孫。以水徳。王曰、髙陽氏死託祀於北方之神。遺書唐棣伊川語録曰、帝者氣之主也。東則謂之青帝、南則謂之赤帝、西則謂之白帝、北則謂之黒帝、中則謂之黄帝。豈有上帝而別有五帝之理。此因周礼言祀旻天上帝而後又言祀五帝亦如之。故諸儒附此説。詳見下八十九條。考。又楚辞九歌朱子註、太一佐曰五帝。
【読み】
○周礼。小宗伯、社稷を右し宗廟を左し、五帝を四郊に兆す。又司服は王の吉凶衣服掌る。王の吉服旻天の上帝を祀るに、則ち大裘を服して冕す。五帝を祀すること亦之の如し。淮南子天文訓に曰く、何を五星と謂う。東方木なり。其の帝大皥。伏羲氏天下の号有り、死に託し東方の帝を祀る。南方火なり。其の帝炎帝。火徳を以てす。王天下に曰く、神農氏死に託し南方の帝を祀る。中央土なり。其の帝黄帝。土徳を以てす。王天下に号し、軒轅氏死に託し中央の帝を祀る。西方金なり。其の帝少旻。黄帝の子。金徳を以てす。王曰く、金天氏死に託し西方の帝を祀る。北方水なり。其の帝顓頊。黄帝の孫。水徳を以てす。王曰く、髙陽氏死に託し北方の神を祀る。遺書唐棣伊川語録曰く、帝は氣の主なり。東は則ち之れ青帝と謂い、南は則ち之れ赤帝と謂い、西は則ち之れ白帝と謂い、北は則ち之れ黒帝と謂い、中は則之れ黄帝と謂う。豈上帝有りて別に五帝の理有らんや。此れに因りて周礼、旻天の上帝を祀ると言い、後又五帝を祀ると言うこと亦之の如し。故に諸儒此の説に附く。詳しくは下八十九條に見る。考えよ。又楚辞九歌朱子註に、太一佐を五帝と曰う。

○第七十四條。固言鬼神。徳明録。廖子晦。

○郊特牲。詔祝於室、坐尸於堂、用牲於庭、直祭祝于主、索祭祝于祊。不知神之所在、於彼乎、於此乎、或諸遠人乎、祭于祊、尚曰求諸遠者欤。
【読み】
○郊特牲。室を祝うを詔し、堂に尸を坐し、庭に牲を用い、直に主を祝いて祭り、祊を祝いて祭るを索む。知らず、神の在す所、彼か、此こか、或いは諸れ人を遠ざくか、祊を祭るは、尚諸を遠者に求むると曰うがごとし。

○王制。天子七廟、三昭三穆、与大祖之廟而七。諸侯五廟、二昭二穆、與太祖之廟而五。大夫三廟、一昭一穆、與太祖之廟而三。士一廟。庶人祭於寢。
【読み】
○王制。天子七廟、三昭三穆、大祖の廟と而して七。諸侯五廟、二昭二穆、太祖の廟と而して五。大夫三廟、一昭一穆、太祖の廟と而して三。士一廟。庶人寢を祭る。

○第七十五條。問顔子。人傑録。万正淳。

○中庸或問第十七章。侯氏謂、舜得其常而孔子不得其常、尤明白也。至於顔跖壽夭亦不其常而已。楊氏乃忘其所以論孔子之意、而更援老聃之言以為顔子雖夭而不亡者存。則反為衍説。而非吾儒之所冝言矣。且其所謂不亡者果何物哉。若曰天命之性、則是古今聖愚公共之物而非顔子所能專。若曰氣散而其精神魂魄猶有存者、則是物而不化之意、猶有滞於冥漠之間、尤非所以謂顔子也。大全。亀山楊氏曰、顔跖之夭壽不齊何也。孝子曰、死而不亡曰壽。顔雖夭而不亡者、猶在也。非夫知性天者。誰能識之。
【読み】
○中庸或問第十七章。侯氏謂う、舜は其の常を得て孔子は其の常を得ず、尤も明白なり。顔跖の壽夭に至るも亦其の常ならざるのみ。楊氏は乃ち其の以て孔子の意を論ずる所を忘れ、更に老聃の言を援け、以て顔子は夭と雖も亡びざる者存すと為す。則ち反って衍説を為す。吾が儒の宜しく言う所に非ず。且つ其の謂う所の亡びざる者は果たして何物ぞ。天命の性と曰うが若きは、則ち是れ古今聖愚公共の物にして顔子の能く專らにすることに非ず。氣散じて其の精神魂魄は猶存する者有りと曰うが若きは、則ち是れ物にして化せざるの意、猶冥漠の間に滞る有るがごとく、尤も以て顔子と謂う所に非ざるなり。大全。亀山楊氏曰く、顔跖の夭壽齊しからざるは何ぞや。孝子曰く、死して亡びざるを壽と曰う。顔は夭と雖も而して亡びざる者、猶在るがごとし。夫れ性と天を知る者に非ず。誰か能く之を識らん。

○第七十六條。僩録。沈杜仲。

○各従其類。文言傳見序文。
【読み】
○各従其類。文言傳序文に見る。

○第七十七條。王子合。與上第十六七條通看可以見。子合之未至處。
【読み】
○第七十七條。王子合。上第十六七條と通看し以て見る可し。子合の未だ至らざる處。

○第七十八條。問死者。子蒙録。林氏。

○相奪予享事、見左傳僖公三十一年。詳於下第八十九條。
【読み】
○相予が享を奪う事、左傳僖公三十一年に見る。下第八十九條に詳らかなり。

○伊川別是一理。正是伯有事。相奪予享事、二程全書無之。言以伊川論伯有之意断此夢。
【読み】
○伊川別に是れ一理。正に是れ伯有の事。相予が享を奪う事、二程全書に之れ無し。伊川伯有の意を論ずるに此の夢を断ずるを以て言う。

○第七十九條。問死者。録者上。

○弔魂復魄。弔當作招士。喪礼註。復者有司招魂復魄也。疏。死者魂神去離於魄。今欲招取魂来復帰于魄。
【読み】
○魂を弔い魄を復す。弔は當に招士と作すべし。喪礼註。復は有司の魂を招き魄を復するなり。疏。死は魂神の魄より去り離れる。今魂を招き取り来て魄に復帰するを欲す。

○檀弓。重、主道也。註、士重木三尺。始死、作重以依神。雖非主而有主之道。故曰、主道也。温公書義。以魂帛代之。朱子謂、其合時之冝不必泥古。家礼儀節。
【読み】
○檀弓。重は主道なり。註、士重は木三尺。始めて死ぬに、重を作り以て神に依る。主に非ずと雖も主の道有り。故に曰く、主道なり。温公書義。魂を以て之を帛に代える。朱子謂う、其れ合する時の宜は必ずしも泥古ならず。家礼儀節。

○第八十條。淳録。陳安卿。

○上蔡語録曰、以為有、亦不可以為無。亦不可這裏有妙理於若無之間。須断置得去始得。曰、如此却是鶻突也。謝氏曰、不是鶻突。自家要有便有、自家要無便無始得。鬼神在虚空中辟塞滿觸目皆是為他。是天地間妙用。祖考精神便是自家精神。
【読み】
○上蔡語録に曰く、以て為す有あり、亦以て為す可からざる無し。亦這の裏に無の間の若きに妙理有る可からず。須らく断置し得去りて始めて得るべし。曰く、此の如きは却って是れ鶻突なり。謝氏曰く、是れ鶻突ならず。自家有ると要せば便ち有り、自家無きと要せば便ち無しと始めて得。鬼神は虚空に在り中辟塞滿、目に觸れるは皆是れ他と為す。是れ天地間の妙用。祖考の精神は便ち是れ自家の精神なり。

○第八十一條。淳因舉。同上。

○中庸集畧。謝曰、動而不已、其神乎。滞而有迹、其鬼乎。往来不已、神也。摧外歸根、鬼也。祥載上第十五條。考。
【読み】
○中庸集畧。謝曰く、動じて已まず、其れ神か。滞りて迹有り、其れ鬼か。往来已まざるは神なり。外を摧き根に歸すは鬼なり。詳しくは上第十五條に載る。考えよ。

○老子十六章。致虚極、守静篤。言、致虚於物之眞正也。萬物竝作、吾以観復。凡有起於虚、動起於静。故卒復帰於虚静。夫物云云、各復歸其根、曰静。是曰復命。復命曰常。帰根則静、々則復命。則得性命之常也。○王弼註。
【読み】
○老子十六章。虚を致すこと極まり、静を守ること篤ければ。言うこころは、物の眞正に於て虚を致すなり。萬物竝び作るも、吾れ以て其の復るを観る。凡そ有は虚に起こり、動は静に起こる。故に卒に虚静に復帰す。夫れ物芸芸たるも、各々其の根に復歸す、静と曰う。是れを命に復ると曰う。命に復るを常と曰う。根に帰せば則ち静、静なれば則ち命に復る。則ち性命の常を得る。○王弼註。

○第八十二條。問人之死。僩録。沈杜仲。尚齋先生祭祀来挌説、譬喩出於此。
【読み】
○第八十二條。問人之死。僩録。沈杜仲。尚齋先生祭祀来格の説、譬喩此に出ず。

○第八十三條。安卿。不出録者。

○第八十四條。用之。亦不出録者。

○遺書四。謝顕道記憶曰、古人立尸之意甚髙。又六曰、祭而立尸、只是古人質。
【読み】
○遺書四。謝顕道記憶に曰く、古人尸を立つの意甚だ髙し。又六に曰く、祭りて尸を立つ、只是れ古人の質なり。

○周礼。墓大夫掌墓之地域、為之圖、令國民族葬、而掌其禁令。家人下大夫二人、正墓位守墓禁。凡祭墓為尸。○墓大夫者、下大夫二人。主萬民之葬。家人者、掌王及羣臣之葬者。
【読み】
○周礼。墓大夫は墓の地域を掌り、之を圖と為し、國の民族を葬らしめ、其の禁令を掌る。冢人は下大夫二人、正に墓に位し墓禁を守る。凡そ墓を祭り尸を為す。○墓大夫は、下大夫二人。萬民の葬を主とす。冢人は、王及び羣臣の葬者を掌る。

○遺書。一李端伯師説曰、墓亦有祭如礼。望墓為壇幷墓人為墓祭之尸、亦有時為之。非經礼也。
【読み】
○遺書。一李端伯師説いて曰く、墓も亦礼の如く祭る有り。墓に望みて壇を為し、幷せて墓人墓祭の尸を為し、亦時有りて之を為す。經礼に非ざるなり。

○第八十五條。問人死氣散。□録。蔡行父。

○第八十六條。祖道録。曽擇之。

○文會筆録中庸部曰、魂魄。答呂子約書論之、死生。答連崇卿廖子晦王子合書論之。見文集。呉伯豊之説以為精密。同上。語類第三鬼神門八十七、祭義篇、死生魂魄之説甚詳。信謂、是鬼神集説之指南、類聚以做題目入思議者耳。
【読み】
○文會筆録中庸の部に曰く、魂魄。呂子約に答うる書に之を論じるに、死生。連崇卿廖子晦王子合に答うる書に之を論ず。文集に見る。呉伯豊の説は以為らく精密なり。同上。語類第三に鬼神を問うこと八十七、祭義篇、死生魂魄の説甚だ詳らかなり。信謂う、是れ鬼神集説の指南、類聚以て題目と做し思議に入る者のみ。

○第八十七條。問祭天地。淳録。陳安卿。

○淮南子原道訓曰、昔者憑夷大丙之御也。二人古之得道、能御隂陽者。乘雲車入雲蜺。又博物志。王母乘紫雲車至於殿西。
【読み】
○淮南子原道訓に曰く、昔、憑夷は大丙の御なり。二人は古の得道、能く隂陽を御す者。雲車に乘り雲蜺に入る。又博物志。王母紫雲車に乘りて殿西に至る。

○第八十八條。問性則是理。賀孫録。葉味道。

○第八十九條。用之問。不出録者。

○節要目録。子晦少学釋得亀山書大悟、遂師朱子。朱子称其学有根據。
【読み】
○節要目録。子晦少くして釋を学び亀山書の大悟を得、遂に朱子を師とす。朱子其の学に根據有るを称す。

○周礼春官。大宗伯建邦。天神人鬼地示之礼。
【読み】
○周礼春官。大宗伯邦を建つ。天神人鬼地示の礼なり。

○礼書。指王制。詳上第七十二條考。
【読み】
○礼書。王制を指す。詳しくは上第七十二條を考えよ。

○語類八十七巻。左氏載齊本爽鳩氏之地、其後蒲姑氏因之、而後大公因之。
【読み】
○語類八十七巻。左氏に齊は本爽鳩氏の地、其の後蒲姑氏之に因り、而る後大公之に因ると載る。

○左氏昭公二十年。齊侯至自田晏子伴。公曰、古而無死其樂若何。晏子對曰、古而無死則古之樂也。君何得焉。昔爽鳩氏居此地。季萴因之有、逢伯陵因之、蒲姑氏因之、而後大公因之。古者無死。爽鳩氏之樂也。非君所願也。註。爽鳩少皥司冠。季萴則虞夏諸矦。逢伯殷諸侯。蒲姑殷周之間。○信謂、皆因而相代者。
【読み】
○左氏昭公二十年。齊侯自ら田晏子を伴いて至る。公曰く、古にして其の樂死ぬこと無きは若何。晏子對えて曰く、古にして死ぬこと無ければ則ち古の樂なり。君何ぞ得んや。昔爽鳩氏此の地居る。季萴之に因りて有り、逢伯陵之に因り、蒲姑氏之に因り、而る後大公之に因る。古は死ぬこと無し。爽鳩氏の樂なり。君の願う所に非ざるなり。註。爽鳩は少皥の司冠。季萴は則虞夏の諸矦。逢伯は殷の諸侯。蒲姑は殷周の間。○信謂う、皆因りて相代わる者なり。

○左氏僖公三十一年。冬、狄圍衛。衛遷于帝丘。卜曰、百年、衛成公夢康叔曰、相奪予享。相夏后啓之孫。居帝丘享祭也。公命祀相。密武子不可。曰、鬼神非其族類、不歆其祀。杞鄫何事。言、杞鄫夏後、自當祀相。相之不享、於此久矣。非衛之罪也。言、帝丘久不祀。相非衛處絶。不可以間。成王周公之命祀。諸侯受命、各有常祀。請改祀命。
【読み】
○左氏僖公三十一年。冬、狄、衛を圍う。衛、帝丘を遷す。卜して曰く、三百年、衛の成公康叔を夢みて曰く、相予が享を奪う。相は夏后啓の孫。帝丘に居りて祭を享くなり。公相を祀るを命ず。甯武子可からず。曰く、鬼神は其の族類に非ざれば、其の祀を歆けず。杞鄫は何事ぞ。言うこころは、杞鄫は夏の後、自ら當に相を祀るべし。相の享けざる、此に於て久し。衛の罪に非ざるなり。言うこころは、帝丘久しく祀らず。相は衛を絶する處に非ず。間を以てす可からず。成王周公の祀を命ず。諸侯の受命、各々常祀有り。祀を命ずるを改むるを請う。

○左氏昭公七年。鄭子産聘于晋。晋侯疾。韓宣子曰、寡君寢疾、於今三月矣。有加而無瘳。今夢黄熊入于寢門、其何厲鬼也。對曰、以君之明、其何厲之有。昔尭殛鯀于羽山、其神化為黄熊。三代祀之。晋為盟主。其或者未之祀也乎。韓子祀侯有間。間、差也。又見國語十四巻晋語。
【読み】
○左氏昭公七年。鄭の子産晋を聘す。晋侯疾あり。韓宣子曰く、寡君疾に寢て今三月なり。加うる有りて瘳える無し。今夢に黄熊寢門に入る、其れ何の厲鬼なるや。對えて曰く、君の明を以てして、其れ何の厲や之れ有らん。昔堯は鯀を羽山に殛し、其の神化して黄熊と為る。三代之を祀る。晋盟主と為る。其れ或る者は未だ之れ祀らざるか。韓子侯を祀るに間有り。間、差なり。又國語十四巻晋語に見る。

○月令。孟春、其日甲乙。其帝大皥。其神句芒。鄭康成曰、此蒼精之居木官之臣。自古以来著德立□者也。大皥宓戯氏、句芒少皥氏之子。曰、重為木官。孔頴達曰、元氣廣大謂之皥。東方生養、元氣盛大、西方收歛、元氣便小。故東方之帝謂之大皥、西方之帝謂之少皥。伏義徳能同天故亦称大皥。木、初生時。句、屈而有芒。角服處云。大皥立德、句芒立功、故春祀之。陳祥道曰、五帝以德、五神以功焉。端臨曰、五帝之祀見於周礼、五帝之義見於家語。程子謂、以主宰謂之帝。何必列於五、且於祀上帝之外別立祀五帝之礼乎。按、天有五行、則有五行之帝、亦有五行之神。帝者氣之主宰、神者氣之流行。大皥火帝黄帝、少皥顓頊、在天五行之帝。伏義神農軒轅金天髙陽、則人帝之配食於此者。句芒祝融后土莀收玄冥。在天五行之神。重黎句龍該脩熈、則人官之配食於此者。
【読み】
○月令。孟春、其の日甲乙。其の帝は大皥。其の神は句芒。鄭の康成曰く、此れ蒼精の居木官の臣。古より以来德著われて立□者なり。大皥は宓戯氏、句芒は少皥氏の子。曰く、重は木官為り。孔頴達曰く、元氣廣大之れを皥と謂う。東方生養、元氣盛大、西方收歛、元氣便ち小。故に東方の帝を之れ大皥と謂い、西方の帝を之れ少皥と謂う。伏羲の徳能く天と同じ故に亦大皥と称す。木は初めて生ずる時。句は屈して芒有り。角服する處を云う。大皥德を立て、句芒功を立つ、故に春に之を祀る。陳祥道曰く、五帝德を以て、五神は功を以てす。端臨曰く、五帝の祀は周礼に見る、五帝の義は家語に見る。程子謂う、主宰を以て之を帝と謂う。何ぞ必ずしも五を列し、且つ祀るに於て上帝の外に別に祀りを立て五帝を之れ礼せんや。按ずるに、天に五行有れば、則ち五行の帝有り、亦五行の神有り。帝は氣の主宰、神は氣の流行。大皥は火帝黄帝、少皥は顓頊、天に五行の帝在り。伏羲神農軒轅金天髙陽は、則ち人帝の此に於て配食する者なり。句芒は融后を祝し土莀は玄冥を收む。天に五行の神在り。重黎句龍該脩熈は、則ち人官の此に於て配食する者なり。

○偪塞。

○第九十條。問鬼神。義剛。黄毅然。

○祭義。祭不欲数。数則煩、煩則不敬。祭不欲疏。疏則怠、怠則忘。是故君子合諸天道。春禘秋嘗、霜露既降、君子履之云云。樂以迎来、哀以送往。故禘有樂而嘗無樂。
【読み】
○祭義。祭は数を欲せず。数は則ち煩、煩は則ち敬さず。祭は疏を欲せず。疏は則ち怠、怠は則ち忘。是の故に君子は諸を天道に合す。春禘秋嘗、霜露既に降り、君子之を履む云云。樂を以て迎え来き、哀を以て送り往く。故に禘に樂有りて嘗に樂無し。

○第九十一條。陳後之。録同上。

○上蔡。詳於第八十條考。
【読み】
○上蔡。詳しくは第八十條に於て考えよ。

○左傳僖公十年。晋改葬共世子。秋、狐突遇太子。忽如夢相見。太子曰、夷吾無礼。余請帝將以晋畀秦。秦將祀余。對曰、臣聞之。神不歆非類、民不祀非族。君曰、諾。七日、有巫者而見我。許之、遂不見。註。狐突許其言、申生之象亦没。
【読み】
○左傳僖公十年。晋、共大子の葬を改む。秋、狐突大子に適く。忽ち夢の如き相を見る。大子曰く、夷吾礼無し。余帝に請うに將に晋を以て秦を畀う。秦將に余を祀らん。對えて曰く、臣之を聞く。神は非類を歆けず、民は非族を祀らず。君曰く、諾。七日、巫者有りて我を見る。許之きて、遂に見ず。註。狐突許其の言、申生の象も亦没し。

○第九十二條。連崇卿。節要目録實記。但出姓字。先生嘗答何叔京書、聞崇卿之賢好学云云。文集不載此問書。所謂以下十六字、崇卿問書語。
【読み】
○第九十二條。連崇卿。節要目録實記。但姓字のみ出る。先生嘗て何叔京に答うる書に、崇卿の賢学を好む云云を聞く。文集此の問書を載せず。謂う所の以下十六字、崇卿問書の語。

○信按、點者上頭玄妙、即麻三斤乾屎橛等之話。文會筆録十五曰、是碧岩第十二則。所以滉瀁不可致詰也。朱子又曰、然。又有翻轉不如此説時。語類百二十六。是所以益滉瀁不可致詰処。是闇齋先生所以引證、廣燈福嚴禅師七宝黄金之頌洞山深旨之之事也。詳見筆録十五。然其歸宿實不外此。是上文所謂以我為主、有知有覚便目為己姓。廖子晦問書中本心字、皆此帰神。佛所謂一切諸法不離本心、大地虚空非心外法、是也。亦許于筆録十五巻。
【読み】
○信按ずるに、點は上頭玄妙、即ち麻三斤乾屎橛等の話。文會筆録十五に曰く、是れ碧岩第十二則。滉瀁の詰と致す可からざる所以なり。朱子又曰く、然り。又翻轉して此の如からずして説く時有り。語類百二十六。是れ益々滉瀁の詰と致す可からざる所以の処なり。是れ闇齋先生の以て引證する所、廣燈福嚴禅師七宝黄金の頌洞山の之を深旨するの事なり。詳しくは筆録十五に見る。然れども其の歸宿は實に此に外ならず。是れ上文謂う所の我を以て主と為し、知ること有り覚ること有れば便ち目がけて己が性と為す。廖子晦問書中の本心の字、皆此れ神に帰す。佛の謂う所の一切諸法不離本心、大地虚空非心外法、是れなり。亦筆録十五巻に許す。

○遺書曰、凡物之散其氣遂盡、無復帰。本原之理。天地間如洪鑪。即下答廖子晦書、大洪鑪出於此。雖生物鎖鑠亦尽。况既散之氣、豈有復在。天地造化又焉用此。既散之氣、其造化者自是生氣至。如海水潮、日出則水涸。是潮退也。其涸者已無也。月出則潮水生也。非却是將已涸之水為潮。此是氣之終始、開闔便是易。一闔一闢謂之変。子晦問書亦用門闔之字。然、不知了。無復歸本原之理、終与程子異也。詳見於下。○文會筆録引斯遺書。次條又引語類三。釈氏人死為鬼、鬼後為人。如此天地間来来去去不由造化生々。都發之條、正為答崇卿子晦二書而證也。
【読み】
○遺書に曰く、凡そ物の散じて其の氣遂に盡き、復帰する無し。本原の理なり。天地の間は洪鑪の如し。即ち下廖子晦に答うる書、大洪鑪此に出ず。生物鎖鑠すと雖も亦尽く。况んや既に散の氣、豈に復在ること有らんや。天地の造化も又焉んぞ此を用いん。既に散るの氣にして、其れ造化する者は自ら是れ生氣至る。海水の潮、日出でれば則水涸るが如し。是れ潮退くなり。其れ涸すれば已に無きなり。月出でれば則ち潮水生まる。却って是れ將に已に之を涸して水の潮と為るに非ず。此れは是れ氣の終始、開闔便ち是れ易し。一闔一闢之を変と謂う。子晦問書も亦門闔の字を用ゆ。然れども知らずして了る。復歸る無きは本原の理、終に程子と異なれり。詳しくは下に見る。○文會筆録斯の遺書を引く。次條も又語類三を引く。釈氏人死して鬼と為し、鬼は後に人と為る。此の如ければ天地の間は来来去去して造化の生々に由らず。都て發するの條、正に答崇卿子晦二書を為して證す。

○第九十三條。此書須與上答崇卿書合。熟復久而見其確實精々處。
【読み】
○第九十三條。此の書須らく上崇卿に答うる書と合う。熟復久しくして其の確實精々なる處を見る。

○文集四十五巻。廖子晦問書曰、夫子告子路曰、未能事人焉、能事鬼。未知生焉、能知死意、若曰知人之理則知鬼之理、知生之理則知死之理。存乎我者無二物也。故正蒙謂、聚亦吾體。知死而不亡者、可與言性也。竊謂、死生鬼神之理、斯言盡之。君子之學汲々修治、澄其濁而求清者。盖欲下失其本心、疑然而常存不為。造化隂陽所累如此、則死生鬼神之理將一於我而天下之能事畢矣。彼釋氏輪廻之説、安足以語此。朱子答書曰、尽愛親敬長貴貴尊賢之道、則事鬼之心、不外乎此矣。知乾坤変化万物受命之理、則生之有死可得而推矣。夫子之言固所以深暁、子路然學不躐等、於此亦可見矣。近世説者夛借見聖之言、以文釈氏之旨。失本意遠矣。信謂、是向来奉答、知生事死之問者、而近答崇卿書論之。即死而不亡云云之辨、及黠者玄妙不可致詰、然其帰宿不外此者。而子晦雖言釈氏輪回、安足以語此而實乃不外此。失本意遠者已発其端耳。
【読み】
○文集四十五巻。廖子晦問書に曰く、夫子の子路に告げて曰く、未だ能く人に事えず、能く鬼に事える。未だ生を知らず、能く死を知るの意、人を知るの理は則ち鬼を知るの理、生を知るの理は則ち死を知るの理と曰うが若し。存するや我は二物無きなり。故に正蒙謂う、聚も亦吾が體。死を知りて亡びざる者は、與に性を言う可し。竊に謂う、死生鬼神の理は、斯の言之に盡く。君子の學は汲々として治を修め、其の濁を澄ませて清なる者を求む。盖し下は其の本心を失し、疑然として常に存して為さざるを欲す。造化隂陽の累う所此の如ければ、則ち死生鬼神の理は將に我に一にして天下の能事畢わる。彼の釋氏輪廻の説、安んぞ以て此を語るに足らん。朱子答書に曰く、愛を尽くし親しみ、長を敬し貴び、賢を貴尊するの道は、則ち鬼に事えるの心、此に外ならず。乾坤変化万物受命の理を知れば、則ち生に之れ死有るを得可べくして推すなり。夫子の言は固より以て深曉する所にて、子路然れども學は等を躐えず、此に於て亦見る可し。近世説く者夛く聖の言を借見し、以て釈氏の旨を文す。本意失すること遠し。信謂う、是れ向来の奉答、生を知り死に事うるの問いにして、近く崇卿に答うる書に之を論ず。即ち死して亡びず云云の辨、及び黠者玄妙詰と致す可からず、然るに其の帰宿は此に外ならざる者なり。而して子晦釈氏の輪回を言うと雖も、安んぞ此を語るを以て足り、實に乃ち此に外ならず。本意を失すること遠き者は已発の其の端のみ。

○両書所論。垩門之学、下学而上達之書、及答知生事人之問書。又按以答知生事死之書与答崇卿之書為両書欤。津涯。書經。微子若渉渉水。其無津涯。
【読み】
○両書論ずる所。聖門の学、下学して上達の書、及び生を知り人に事うるの問いに答うるの書。又按ずるに生を知り死に事うるの書と崇卿に答うるの書を以て両書と為すか。津涯。書經。微子若渉渉水。其れ津涯無し。

○子晦問書曰、徳明平日鄙見、未免以我為主。盖天地人物統體。只是一性。死豈遽亡之。夫水有所激與所礙、則成漚。正如二機闔闢不已、妙号而成人物。夫水固水也。漚亦不得不謂之水。特其形則漚、滅則還、復是本水也。人物之生、雖一形具一性、及氣散而滅還復統体、是一而已。豈復分別。是人是物所未営者、正惟祭享一事。推之未行、若以為果饗耶。神不歆非類。大有界限與統体還一之説、不相似。若曰饗與不饗。盖不必問。但報本之道不得。不然而詩書却明言。神嗜飲食祖考来格之類、則又極似有饗之者。竊謂、人雖死無知覚、知覚之原仍在。此以誠感彼以類應。若謂尽無知覚之原、只是一片大虚寂、則似断滅無復實然之理。又恐未安。君子曰終、小人曰死、則智愚於此亦各不同。故人不同於鳥獣草木、愚不同於垩。雖以為公共道理然。人須全而歸之、然後足以安吾之死。不然、則人何用求至賢垩、何用與天地相似。倒行送施均於一。死而不害。其為人是直。與鳥獣禽魚倶壊慒不知其所存也。朱子所答之之書即此條之書。亦見文集四十五巻。
【読み】
○子晦問書に曰く、徳明平日鄙見し、未だ我を以て主と為すを免がれず。盖し天地人物は統て體。只是れ一性なり。死は豈遽に之を亡びん。夫れ水有りて激する所と礙る所は則ち漚と成す。正に二機闔闢して已まざるが如く、妙号して人物と成る。夫れ水は固より水なり。漚も之を水と謂わざるを得ず。特に其の形は則ち漚、滅すれば則ち還り、復是れ本の水なり。人物の生、一形に一性を具えると雖も、氣散じて滅し還るに及べば復統体、是れ一のみ。豈復た分別あらん。是れ人是れ物未だ営ぜざる者は、正に惟祭享の一事なり。之を推して未だ行われざるは、以て饗を果すと為すが若きか。神は非類を歆けず。大有界限と統体還一の説とは相似ず。饗と不饗とを曰うが若し。盖し必ずしも問わず。但本に報いるの道は得ず。然らずして詩書は却って明言す。神の飲食を嗜み祖考の来格するの類は、則ち又極めて饗の者有るに似る。竊に謂う、人は死んで知覚無しと雖も、知覚の原は仍在なり。此れ誠を以て感じ彼類を以て應ず。尽きて知覚無きの原と謂うが若きは、只是れ一片の大虚寂、則ち断滅して復實然の理無きに似る。又恐らくは未だ安んじず。君子は終わりと曰い、小人は死と曰うは、則ち智愚此に於て亦各々同じからず。故に人は鳥獣草木と同じからず、愚は聖と同じからず。以為らく、公共の道理と雖も然り。人須らく全くして之を歸し、然る後に安吾の死を以て足る。然らざれば、則ち人何を用いて賢賢に至るを求め、何を用いて天地と相似せん。倒行送施は一に均し。死して害せず。其人為りや是れ直。鳥獣禽魚と倶に壊慒して其の存する所を知らず。朱子の之に答うる所の書は即ち此の條の書なり。亦文集四十五巻に見る。

○信謂、子晦前書之問持受、張子死而不亡之説、亀山所説、朱子之辨見中庸或問第十七章。其説既載上七十五條。考。者實其所依帰、而所謂本心疑然常存、不為造化隂陽所累。是即以我為主、不論性而主心之知覚者耳。雖更為説曰知覚之原、然依舊本心凝。然常存之事、即本来面目、而此書曰君子曰終全而帰之安吾死者、即前書所謂天下之能事畢者、實則彼涅槃寂滅為樂消息。水漚譬喩亦取仏佛經。乃朱子所答借先垩之言、以文釈氏之旨。雖不必獨指子晦、而子晦之問前後実中之。要之不本理而親精神魂魄知覚上。乃其論性差、則雖以本来面目爲髙喜之為実然之、理以因果輪回為旱厭之為、安足以語。此其実不相遠者、觀精神魂魄有知覚者而不本理故也。謝上蔡曰、佛之論性如儒之論心。善哉。一言足以折訟。
【読み】
○信謂う、子晦前書の問いを持ち受け、張子の死して亡びずの説、亀山説く所、朱子の辨、中庸或問第十七章に見る。其の説既に上七十五條に載る。考えよ。者實に其の依帰する所、而して謂う所の本心疑然として常に存し、造化隂陽の累う所と為さず。是れ即ち我を以て主と為し、性を論ぜずして心の知覚を主とする者のみ。雖更に説を為して知覚の原を曰うと雖も、然るに舊に依りて本心凝る。然るに常に存するの事は、即ち本来の面目、而して此の書を君子と曰い終わりと曰い、全くして之れ安吾の死に帰せば、即ち前書に謂う所の天下の能事畢る者は、實に則ち彼の涅槃寂滅樂と為し消息す。水漚の譬喩も亦佛經を取る。乃ち朱子の答うる所の先聖の言を借り、以て釈氏の旨を文す。必ずしも獨り子晦を指さずと雖も、而して子晦の問の前後は実に之に中る。之を要せば本理ならずして精神魂魄知覚上に親しむ。乃ち其の性を論ずること差えば、則ち本来の面目を以て髙喜之れを為すと為し、実然の理は因果輪廻を以て旱厭之れを為すと為すと雖も、安んぞ以て語るに足らん。此れ其の実に相い遠からざる者は、精神魂魄知覚有る者を觀て、本理ならざる故なり。謝上蔡曰く、佛の性を論ずるは儒の心を論ずるが如し。善きかな。一言以て訟を折るに足る。

○以我為主。来書云尓。以覚為性。一書断案。夫性者理而已。一書大綱領。乾坤変化。答来書二機闔闢。鬼神便是精神魂魄。更端答来書。祭享一叓以下。世俗麤浅知覚。前書所謂近世説者。張無垢至一種学者。實然之理。来書以彼本心凝然者為吾実然之理。断滅。亦来書語。彼以為不亡而愛惜之吾、則非有我之所得。私也。因在天乃不憂其断滅。歸全安死。亦来書語。與吾似而異者。一物奉持。所謂本心疑然而常存者。晏然安處。死而不亡処。夭壽不貳。自上文反身而誠至于此。
【読み】
○我を以て主と為す。来書に云う。覚るを以て性と為す。一書断案。夫れ性なる者は理のみ。一書大綱領。乾坤変化。来書に二機闔闢と答う。鬼神は便ち是れ精神魂魄。更に端に来書に答う。祭享一事以下。世俗麤浅の知覚。前書謂う所の近世説く者。張無垢云う、一種学者。實然の理。来書に彼の本心を以て凝然する者は吾実然の理と為す。断滅。亦来書の語。彼以て亡びずと為して之を吾に愛惜すれば、則ち我に有るに非ざるの所を得。私なり。因りて天に在れば乃ち其の断滅を憂えず。全きに歸して死に安んず。亦来書の語。吾と似て異なる者。一物奉持。謂う所の本心疑然ちして常に存する者。晏然安處。死して亡びざる処。夭壽貳わず。上文より身に反りて誠此に至る。

○一受其成形。荘子齊物論。一受成形、不亡待尽。
【読み】
○一たび其の成形を受ければ。荘子齊物論。一たび成形を受ければ、亡びず待た尽く。

○生死事大無常迅速。永嘉語。見壇經傳燈。見文會筆録十五巻。五祖一日喚諸門人、説生死事大。汝等終日只求福田、不求出離生死苦海。汝等各未自看智慧、取自本心般若之性、各作一偈。来呈、吾看若悟大意。付汝衣法為第六代祖。見壇經行田。
【読み】
○生死事大無常迅速。永嘉の語。壇經傳燈に見る。文會筆録十五巻に見る。五祖一日諸門人を喚びて、生死事大を説く。汝等終日只福田を求め、生死苦海より出離するを求めず。汝等各々未だ自ら智慧を看ずして、自ら本心般若の性を取り、各々一偈を作る。来て呈す、吾若の大意を悟るを看る。汝に衣法を付し第六代祖と為す。壇經行田に見る。

○第九十四條。呉伯豊。節要目録曰、公明悟善学。先生期許甚重。不幸早卒。先生毎痛惜之。殆若孔門之於顔子。信謂、此條甚精密、與崇卿子晦軰逈別期許甚重。於是亦可見其一端。佐藤子以此條終編者足以發明。上所崇卿子晦二書之正意故焉耳。
【読み】
○第九十四條。呉伯豊。節要目録に曰く、公明善く学を悟る。先生の期許甚だ重し。不幸にして早卒す。先生毎々之を痛惜す。殆ど孔門の顔子に於るが如し。信謂う、此條甚だ精密、崇卿子晦と輩逈し別に期許甚だ重し。是に於て亦其の一端を見る可し。佐藤子此の條を以て編を終えるは以て發明に足る。上崇卿子晦の二書の所は之れ正意故のみ。

○文集書部次第、萬正淳、呉伯豊、姜叔權三人相序。而節要目録萬呉二人曰興国人。姜獨曰名大。朱子稱其天姿慈祥而不曰郷里。
【読み】
○文集書部の次第に、萬正淳、呉伯豊、姜叔權の三人相序す。節要目録萬呉二人を興国の人と曰う。姜獨り名大と曰う。朱子其の天姿慈祥を稱して郷里を曰わず。

○上蔡語録上巻曰、先生祭享鬼神、則甚只是他意思別。三日齊五日戒求諸隂陽四方上下。盖是要集自家精神所以挌。有廟必於萃與渙言之。
【読み】
○上蔡語録上巻に曰く、先生祭りて鬼神を享くれば、則ち甚だ只是れ他の意思別なり。三日の齊五日の戒は諸を隂陽四方上下に求む。盖し是れ自家精神の以て格る所を集めるを要す。廟有れば必ず萃と渙とに於て之を言う。

○書經益稷。戛擊鳴球、搏拊琴瑟以詠。祖考来格。
【読み】
○書經益稷。戛は球を擊鳴し、搏は琴瑟を拊ち以て詠ず。祖考来格す。

○文集答姜叔權部中、無其答書。
【読み】
○文集姜叔權に答うる部中、其の答書無し。

予甫十七萊、先君為學者講此書。予即摭無掌故為考證一巻。近年求之筐笥中無得焉。恐失庚辰災。今春偶又講習此篇。仍又貸書於二三友人許、再考無事證如此。屈指既四十六春、吾齢今六十二。拘儒常態至死依舊是取。謂為人之弊□已哉。
寛政癸丑四月二十五日黙叟跋。
【読み】
予甫め十七萊、先君學者の為に此の書を講ず。予は即ち摭無掌故に考證一巻を為す。近年之を筐笥中に求め得る無し。恐らくは庚辰の災に失さん。今春偶々又此の篇を講習す。仍りに又書を二三の友人の許より貸り、再考無事此の如く證す。指を屈すること既に四十六春、吾が齢今六十二。儒の常態死に至り舊に依るに拘り是れを取る。人の爲の弊と謂うのみ。
寛政癸丑四月二十五日黙叟跋。