二程全書卷之二十一  遺書伊川先生語六

周伯忱錄

問、左氏言子路助衛輒、觀其學已升堂。肯如是否。曰、子路非助輒、只爲孔悝陷於不義、欲救之耳。蓋蒯聵不用君父之命而入立、强盟孔悝。孔悝不合從之故也。曰、子路當時可以免難否。曰、不可免。
【読み】
問う、左氏言う、子路衛の輒[ちょう]を助けて、其の學已に堂に升ることを觀る、と。肯えて是の如きや否や、と。曰く、子路輒を助くるに非ず、只孔悝[こうかい]不義に陷るが爲に、之を救わんと欲するのみ。蓋し蒯聵[かいかい]君父の命を用いずして入りて立ち、强いて孔悝に盟う。孔悝從う合からざるの故なり、と。曰く、子路當時以て難を免る可きや否や、と。曰く、免る可からず、と。

問、左傳可信否。曰、不可全信。信其可信者耳。某年二十時、看春秋。黃贅隅問某如何看。答之曰、有兩句法云、以傳考經之事迹、以經別傳之眞僞。又問、公・穀如何。曰、又次於左氏。左氏卽是丘明否。曰、傳中無丘明字。不可考。
【読み】
問う、左傳は信ず可きや否や、と。曰く、全くは信ず可からず。其の信ず可き者を信ぜんのみ。某年二十の時、春秋を看る。黃贅隅問う、某如何にか看る、と。之に答えて曰く、兩つの句法有り云く、傳を以て經の事迹を考え、經を以て傳の眞僞を別つ、と。又問く、公・穀は如何、と。曰、又左氏に次げり、と。左氏は卽ち是れ丘明なるや否や、と。曰く、傳中に丘明の字無し。考う可からず、と。

問、此之謂自慊與吾何慊乎哉之慊、同否。曰、慊字則一也。不足謂之慊、動於中亦謂之慊。看用處如何。
【読み】
問う、此れ之を自ら慊[こころよ]くすと謂うと吾れ何ぞ慊[うら]みんやの慊とは、同じきや否や、と。曰く、慊の字は則ち一なり。足らざる之を慊と謂い、中に動くも亦之を慊と謂う。用うる處如何と看よ、と。


参考文献
『和刻本漢籍 二程全書』(中文出版社)
『二程集』(里仁書局)